2016.07.30更新

お母様を亡くされたご長男から、遺言書を偽造した弟の相続についてのご相談です。

 

1.ご相談者

 50代の男性

 ①被相続人

  母

 ②相続人

  ご相談者(長男)の他に弟がいる

 ③相続財産

  現金、預金、不動産

 

2.ご相談の内容

 母が亡くなりました。父は既に他界していて、相続人は、長男の私と弟です。

 母が亡くなってしばらくして、弟から突然、母の自筆の遺言書を見せられました。遺言書には、全ての財産を弟に相続させる内容が書かれていますが、生前、母からそのような遺言の話しは全く聞いていませんでした。

 弟は、以前から母にお金を無心していて、お金のことで度々母と揉めていました。また、遺言書に書かれてある日付の当時、母は認知症で施設に入所していたので、遺言書を書けるような状態ではありませんでした。

 母の遺言書を偽造してまで財産を独り占めしようとする弟に、相続財産を分けないといけないのでしょうか?

  

3.ご相談への回答

 相続人が遺言書を偽造した場合、相続欠格者として相続人の資格を剥奪することができます。

 

(1)どんな場合に相続人になれないの?

 夫や妻(配偶者)は常に相続人になり(民法890条)、血族については、子(民法887条)、祖父や祖母(直系尊属)(民法889条1項1号)、兄弟姉妹(民法889条1項2号)の順に相続人になります。

 ただ、次のような場合には、相続人になることができません(民法891条)。

 ①故意に被相続人・相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させ、または死亡させようとしたために刑に処せられた者

 ②被相続人が殺害されたことを知っているのに告発・告発しなかった者

 ③詐欺・強迫によって被相続人の遺言・撤回・取消・変更を妨げた者

 ④詐欺・強迫によって被相続人に遺言をさせ、遺言の撤回・取消・変更をさせた者

 ⑤被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者

 このような事実があると、当然に相続人の資格を剥奪されてしまいます。 

 これを「相続欠格」といいます。

 

(2)どんな場合に偽造が認められるの?

 たとえば、妻の子供が後妻に、遺言の偽造を理由に相続権がないことの確認を求めた事案で、裁判所は、A(被相続人)は込み入った話が不可能で、箸を持つことも相当困難であり、本文部分だけでなく、氏名部分も後妻が自筆したとする筆跡鑑定を根拠に、後妻による遺言書の偽造を認めました(東京地裁H18.4.21判決)。

 ここでは、偽造の立証として、筆跡鑑定が利用されました。

 

(3)偽造が認められない場合はどんな場合?

 ただ、偽造の現場を見ているわけではないので、相手方が遺言書を偽造したことを立証するのは簡単なことではありません。

 実は、先程の判例では、後妻だけでなく、先妻の子供も遺言を持っていたため、後妻もその遺言の偽造を主張して、筆跡鑑定を提出しました。

 しかし、裁判所は、先妻の子供が持っていた遺言については、筆跡鑑定の合理性を否定して、偽造ではないとしたのです。

 ここでも、偽造の立証として、筆跡鑑定が用いられましたが、採用されませんでした。

 他にも、母の相続にあたって、全財産を長女に相続させる自筆の遺言の無効と、遺言の偽造による長女の相続権がないことの確認を求めた事案では、母が高度の認知症であったため、遺言をする能力がないとして、遺言は無効となりましたが、長女による遺言の偽造は認められませんでした(東京地裁H27.3.18判決)。

 このように、偽造ではないとされることも多くあります。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合も、遺言書が偽造であれば、弟に相続権がないことを主張することはできます。

 ただ、先程も説明したとおり、相手方が遺言書を偽造したことを立証するのは簡単なことではありません。偽造でないと判断されることも多くあるので、相手から偽造していないと言われると、やはり裁判で決めるほかありません。

 ご相談者の場合、お母様が遺言書を書けるような状態ではなかったということなので、場合によっては偽造と判断される可能性はあります。

 また、認知症で施設に入所していたということなので、遺言が無効となる可能性があります。

 なお、認知症によって遺言が無効だからといって直ちに偽造とはならないので、その点は注意が必要です。

 

5.今回のポイント

 被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者は、相続人になることができません(民法891条5号)。

 偽造の場合、その現場を見ているわけではないので、相手方が遺言書を偽造したことを立証するのは簡単なことではありません。

 遺言書の偽造の立証の方法として、筆跡鑑定が用いられることがありますが、筆跡鑑定があるからと言って、必ず偽造になるわけではありません。

 

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弁護士費用(税別)

① 遺産分割調停事件

  着手金 20万円   

  報酬金 遺産分割で得た金額の報酬額(③)

 

③ 遺留分減殺請求訴訟・遺言無効確認請求訴訟等

  着手金 25万円

  報酬金 訴訟で得た金額の報酬額(③)

 

③ 遺産分割・訴訟で得た金額の報酬額

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 


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2016.07.21更新

離婚を考えている奥様から、財産分与における退職金の取り扱いについてのご相談です。

結論:既に支払われた退職金はもちろん、将来の退職金であっても、財産分与の対象となる可能性があります。

詳しくは下記のブログをお読みください。

離婚の財産分与でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。

 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。

 

1.ご相談者

 50代の女性(主婦)

 ①夫は50代(会社員)

 ②婚姻期間は22年

 ③財産は預金、マンション

 

2.ご相談の内容

 夫はろくに生活費を渡さず、私に隠れて数百万円の借金をしていたことがありました。そのときは夫の両親にも助けてもらい、借金をきれいにしました。

 ところが、最近になって、また夫が借金をしていることが分かりました。これ以上夫と一緒にいても仕方ないので、離婚しようと思っています。夫は、あと数年で定年退職し、会社から退職金が払われますが、それまで一緒にいたくありません。

 今離婚すると夫の退職金は財産分与でもらえないのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 将来支払われる退職金は、当然には財産分与の対象にはなりません。

 将来退職金が支払われることが確実といえるような場合に、財産分与の対象になります。

 

(1)退職金は財産分与の対象になるの?

 財産分与は、夫婦が協力して形成した財産を清算する制度なので、夫婦の共有財産といえる限り、財産分与の対象になります。

 退職金は、賃金の後払いの性質を有するとされているので、離婚の時点で退職金が既に支払われている場合には、退職金についても夫婦の協力によって形成されたものと考えられ、婚姻期間中の給料の支払と同様、財産分与の対象になります。

  ただ、財産分与は、あくまで夫婦が協力して形成した財産を清算する制度なので、退職金も婚姻期間に相当する部分に限られます。

 たとえば、学校を卒業して何年か働いた後で結婚したというような場合には、退職金自体は結婚する前の期間も含めて算定されていますが、財産分与にあたっては、結婚した後の期間しか対象にならないことになります。

(ケース)

 ①事案協議離婚した妻が夫に財産分与として既に支払われた退職金1761万円の2分の1を請求

 ②結論410万円

 ③ポイント夫の勤務期間12年2カ月のうち、妻が同居していたのは5年8か月だった

 ④判例:裁判所は、夫の退職金は、夫が勤務した12年2か月を対象としたもので、妻が夫と同居してその維持形成に寄与したのは5年8か月であるから、同居期間だけを寄与期間として計算すべきであるとして、同居期間の退職金820万円の2分の1の410万円の支払を認めました(横浜家裁平成13年12月26日審判)。

 

(2)将来の退職金は財産分与の対象になるの?

 将来退職金が支払われる場合であっても、まだ夫が退職していない場合には、退職金が支払われていないので、実際に分けることができません。

 将来の退職金は、倒産など経済状況によっては支払われないこともありますし、解雇された場合に支払われないこともあります。また、定年前に自己都合で退職した場合にも退職金の額が変わってきます。

 このように将来の退職金には、不確定な要素が多く、退職金の金額や支払自体を確定できないので、財産分与の対象としにくい面があります。

 とはいえ、このまま特に問題なく勤務していれば退職金が払われることが確実な場合もあります。

 そのため、将来の退職金については、将来退職金が支払われることが確実といえるような場合に、財産分与の対象になるとされています。

(ケース)

 ①事案妻が協議離婚後、離婚時に34年間勤務していた元夫の将来の退職金の財産分与を請求

 ②結論612万円の財産分与を認めた

 ③ポイント元夫の勤務する会社の規模が大きかった

 ④判例:裁判所は、将来支給を受ける退職金であっても、その支給を受ける高度の蓋然性が認められるときには、財産分与の対象とすることができるとした上で、元夫の勤務する企業の規模等から、退職時に退職金の支給を受けることはほぼ確実であることを理由に、退職金が支給されたときに612万円を支払うことを認めました(東京高裁平成10年3月13日決定)。

 

(3)どんな場合に将来の退職金の財産分与が認められるの?

 どのような場合に「将来退職金が支払われることが確実な場合」といえるかは、本人の事情や会社の事情もあり、なかなか難しいところがあります。

(ケース1)

 ①事案妻が国家公務員の夫に将来の退職手当の財産分与を請求

 ②結論550万円の財産分与を認めた

 ③ポイント夫が国家公務員だった、定年まで8年だった、現在の退職手当額と定年時の退職手当額の差が大きいので妻に配慮した

 ④判例:裁判所は、夫は別居時まで23年勤続し、現在自己都合によって退職しても1632万円の退職手当を受給できること、婚姻して別居するまで妻の協力があったことは否定できないこと、定年まで8年あり、退職手当を受給できない場合もあること、定年退職時の退職手当額1160万円が現在の自己都合の退職手当額907万円と比べて差が大きいことなどを理由に、907万円のうち、550万円の財産分与を認めた上で、支払時期は将来退職手当を受給したときとしました(名古屋高裁平成12年12月20日判決)。

 

(ケース2)

 ①事案妻が会社員の夫に将来の退職手当の財産分与を請求

 ②結論188万円の財産分与を認めた

 ③ポイント夫が6年後まで勤務する蓋然性がある、退職金の支給について不確定な要素がある

 ④判例:裁判所は、夫婦関係は悪化していたが、別居時までは妻としての役割を果たしていたこと、現在退職した場合でも699万円の退職金が受け取れること、夫が6年後の定年まで現在の会社に勤務して退職金を支給される蓋然性が認められること、退職金の支給について不確定な要素を全く否定できないことを理由に、定年時の退職金額を現在の金額に引き直した額の5割にあたる188万円の財産分与を認めました(東京地裁平成11年9月3日判決)。

  

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、婚姻期間が長いので、その間も夫が継続して会社に勤務していたとすると相当な退職金を受け取ることができるのでしょう。その場合、定年退職まであと数年ということなので、定年まで勤務する可能性は高いと言えます。

 そうすると、将来退職金が支払われることが確実といえる可能性が高いので、将来の退職金も財産分与の対象とされる可能性は高いといえます。

 その場合、財産分与の対象となる将来の退職金の金額をどのように決めるかについては、いろいろな考えがあるので、一概には言えません。

 ただ、財産分与の割合については、特段の事情がない限り「2分の1ルール」に基づいて、2分の1の権利を持つといえます。

 

5.今回のポイント

 離婚の時点で退職金が既に支払われている場合には、当然、財産分与の対象になります。

 退職金も婚姻期間に相当する部分についてのみ財産分与の対象になります。

 将来の退職金は、当然には財産分与の対象とはならず、将来退職金が支払われることが確実といえるような場合に財産分与の対象になります。

 どのような場合に「将来退職金が支払われることが確実な場合」といえるかは、本人の事情や会社の事情に照らして判断されるのでケースバイケースですが、6~8年後に退職する場合には、財産分与の対象となる可能性があります。

 

当弁護士へご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

まずは、安心してお気軽にご相談ください。

 

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弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 20万円 

  報酬金 20万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 30万円 

  報酬金 30万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金

  着手金 10万円 

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

2016.07.09更新

離婚を考えている奥様から、財産分与の際の、親から援助されたマンションの住宅ローンの頭金についてのご相談です。

結論:親から援助された住宅ローンの頭金も返還される場合があります。

詳しくは下記のブログをお読みください。

離婚の財産分与でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~17:00)タップするとつながります。

  ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。

  

1.ご相談者

 50代の女性(主婦)

 ①夫は50代(会社員)

 ②婚姻期間は26年

 ③財産はマンション

 

2.ご相談の内容

 結婚当初から、夫の両親と折り合いが悪く、そのことが原因でよく夫と口論になりました。夫とは性格も合わず、子供も成人したので、離婚をしたいと思っています。

 当時3000万円のマンションを購入した際に、私の親から300万円の援助を受けて頭金にしました。名義は夫が10分の9、私が10分の1です。現在、マンションは2000万円まで値下がりし、住宅ローンも1000万円残っています。

 離婚の財産分与にあたって、親から援助(贈与)された300万円は返してもらえるのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 親から援助されたお金も返還される場合があります。ただ、援助を受けた金額がそのまま返還されるとは限りません。

 

(1)住宅ローンが残っているマンションの財産分与はどうしたらいいの?

 住宅ローンが残っているマンションの財産分与を考えるにあたっては、マンションを売却した後に住宅ローンが残るかどうかが重要です。

 売却後に住宅ローンが残らない場合には、財産分与が問題になりますが、売却後に住宅ローンが残る場合には、そもそも財産分与の対象となる財産がないので、財産分与は問題になりません。

 売却後に住宅ローンが残るかどうかは、現在のマンションの価格から住宅ローンの残高を差し引いて判断します。

 マンションの価格は、不動産業者に査定してもらうことで分かります。

 ちなみに、夫婦の共有財産といえる限り、財産の名義は関係ありません。たとえ名義が夫になっていても、マンションが夫婦の共有財産といえる場合には、財産分与の対象になります。

 

(2)売却後に住宅ローンが残らない場合にマンションの財産分与はどうなるの?

 たとえば、現在のマンションの価格が2000万円、住宅ローンの残高が1000万円の場合を見てみましょう。この場合、売却後に住宅ローンが残らず、マンションには1000万円の財産としての価値があることになります。したがって、マンションは財産分与の対象になります。 

 この場合、財産分与の方法としては、マンションを売却して売却代金を2分の1ずつ取得する方法、②どちらかがマンションを取得して、取得した方が取得しなかった方にマンションの評価額から住宅ローンの残高を引いた2分の1の現金(代償金)を払う方法があります。

 ①の場合、実際の売却代金(現金)を分けるので、清算しやすい点にメリットがあります。

 ただ、この場合、いつ売却できるか分からず、売却までに時間がかかることもあるので、この点がデメリットです。

 また、売却にあたって仲介手数料などの諸費用がかかるので、実際に手元に残るのは、売却代金から諸費用を引いた残金の2分の1ということになります。

 ②の場合、今後もマンションに住むことができる点にメリットがあります。

 ただ、売却しなければ住宅ローンは残るので、今後も住宅ローンを払わなければいけない点がデメリットです。

 また、マンションを取得した方は、マンションの価格から住宅ローンの残高を引いた金額(1000万円)の2分の1(500万円)の代償金を払わないといけないので、支払能力が必要です。

 さらに、この場合、マンションの評価額について対立することが多いので、その点について合意できるかどうかも問題になります。

 したがって、②の方法によるときは、これらの問題点をクリアする必要があります。

 特に、妻がマンションを取得する場合には、住宅ローンや夫への代償金の支払能力が問題となることが多く、この点をクリアする必要があります。

 

(3)親から援助(贈与)された頭金はどうなるの?

 財産分与は、夫婦が協力して形成した財産を清算する制度なので、夫婦の一方が結婚前に取得した財産や、結婚している間に、夫婦の一方がその人の名義で取得した財産は、夫婦の共有財産とはいえず、財産分与の対象にはなりません。

 これを「特有財産」(とくゆうざいさん)といいます。

 親から援助(贈与)された頭金も特有財産なので財産分与の対象になりません。

 したがって、頭金は親から援助された子供に返還され頭金を除いた金額を財産分与することになります。

(ケース)

 ①事案妻がマンションの頭金、ローン返済等5455万円のうち、2455万円を負担したとして、残りの分について夫に財産分与を請求

 ②結論1670万円の特有財産を認めた

 ③ポイント妻名義の定期預金は特有財産と証明できなかった、両親からの借入を裏付ける証拠があった

 ④判例:裁判所は、妻名義の定期預金は、預け入れの時点で既に婚姻後15年を経過し、妻が婚姻前から有していた特有財産とは認められないとする一方、妻が両親から借りた1670万円を妻の特有財産と認め、購入費用のうち35%を妻の特有財産とした上で、売却代金1086万円の特有財産の35%を除いた706万円の2分の1(353万円)について財産分与を認めました(東京地裁平成17年12月27日判決)。

 ただし、頭金が返還されるのは、マンションに財産としての価値がある場合なので、売却後に住宅ローンが残るため財産分与すべき財産がない場合には、頭金は返還されません。

 

(4)援助された頭金はそのまま返してもらえるの?

 援助された頭金は、援助された金額がそのまま返されるわけではありません。

 マンションを取得したときの価格と現在の価格とは違うので、援助された頭金が現在もそのまま残っているとはいえません。そのため、援助された頭金を現在のマンションの価格に応じて評価し直す必要があります。

 具体的には、援助された頭金の現在の価格=現在のマンションの価格×(援助された頭金÷取得したときのマンションの価格)によって評価します。

(ケース)

 ①事案夫が結婚前の預金270万円、養老保険の満期金、貸付信託の解約金を自宅マンションの購入資金に充てたとして、特有財産を除く財産分与を請求

 ②結論1268万円の特有財産を認めた

 ③ポイント婚姻後18年経過し、マンションの価値が相当下落している

 ④判例:裁判所は、預金は妻名義の通帳の預入日等から、また、養老保険は婚姻の翌年に契約されたものであるから、いずれも夫の特有財産とは言えないとして、貸付信託の解約金1681万円分についてのみ特有財産と認めた上で、財産分与にあたっては、現在のマンションの価格を3785万円、取得したときのマンションの価格を5020万円として、3785万円×(1681万円÷5020万円)=1268万円を夫の特有財産とし、2517万円を財産分与の対象としました(大阪高判平成19年1月23日判決)。  

 このように、援助を受けたマンションの頭金は、取得した当時のマンションの価格に対する割合を、現在のマンションの価格に評価し直して決めるので、援助を受けた金額がそのまま返ってくるとは限りません。

  一般的には、現在のマンションの価格は、取得した当時より下がっていることが多いので、援助された頭金の金額よりも低い金額となることが多いでしょう。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、現在のマンションの価格が2000万円、住宅ローンの残高が1000万円なので、売却後に住宅ローンが残らず、マンションには1000万円の財産としての価値があるので、マンションは財産分与の対象になります。

 ご相談者が親から援助されたお金は、ご相談者の固有の財産なので、財産分与にあたって返還されますが、300万円がそのまま返還されるわけではありません。

 300万円の頭金を現在のマンションの価格に応じた金額に評価し直すと、1000万円×(300万円÷3000万円)=100万円となるので、100万円が返還されることになります。

 財産分与にあたっては、たとえば、マンションを売却して1000万円が残ったとすると(実際は、諸費用を引いた金額になります。)、この中からまずご相談者が100万円を取得し、残りの900万円を2分の1ずつ分け、それぞれが450万円ずつ取得することになります。

 

5.今回のポイント

 親から援助(贈与)された頭金は特有財産なので、財産分与の対象にならず、親から援助された方に頭金が返還され、頭金を除いた金額を財産分与することになります。

 頭金が返還されるのは、マンションに財産としての価値がある場合なので、売却後に住宅ローンが残るため財産分与すべき財産がない場合には、頭金は返還されません。 

 援助を受けたマンションの頭金は、取得した当時のマンションの価格に対する割合を、現在のマンションの価格に評価し直して決めるので、援助を受けた金額がそのまま返ってくるとは限りません。 

 援助された頭金の現在の価格は、次の式で計算します。

 援助された頭金の現在の価格=現在のマンションの価格×(援助された頭金÷取得したときのマンションの価格)によって評価します。

 

当弁護士へご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

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弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 20万円 

  報酬金 20万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 30万円 

  報酬金 30万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円となります。

   

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円        

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金

  着手金 10万円 

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

2016.07.02更新

離婚を考えている奥様から、住宅ローンが残っているマンションの財産分与についてのご相談です。

結論:売却した後に住宅ローンが残らない場合には、財産分与の対象になります。場合によっては引き続き住むこともできます。

詳しくは下記のブログをお読みください。

離婚の財産分与でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~17:00)タップするとつながります。

 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。

 

1.ご相談者

 40代の女性(主婦)

 ①夫は40代(会社員)

 ②婚姻期間は10年

 ③財産はマンション

 

2.ご相談の内容

 夫の浮気が発覚しました。子供はまだ小さいのですが、私としては、もう離婚するしかないと思っています。夫名義のマンションがあり、夫が住宅ローンを払っていますが、まだ住宅ローンがかなり残っています。

 住宅ローンが残っているマンションの財産分与はどうなるのでしょうか? 住宅ローンが残っているマンションに子供と住むことはできるでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 住宅ローンが残っているマンションは、売却した後に住宅ローンが残らない場合には、財産分与の対象になりますが、売却した後に 住宅ローンが残る場合には、財産分与の対象になりません。

 住宅ローンの支払能力があれば、金融機関の承諾を得て、マンションの名義や住宅ローンの契約者を変更して住むこともできます。

  

(1)住宅ローンが残っているマンションの財産分与は何を確認したらいいの?

 住宅ローンが残っているマンションの財産分与の方法は、マンションの名義は誰か、②住宅ローンの債務者は誰か、③保証人は誰か、④マンションを売却した後の住宅ローンが残るかによって変わります。

 したがって、この点について、まず、確認する必要があります。

 ①マンションの名義は、夫の単独名義か夫婦の共有名義の場合が多いでしょう。

 夫婦の共有財産といえる限り、財産の名義は関係ありません。たとえ名義が夫になっていても、マンションが夫婦の共有財産といえる場合には、財産分与の対象になります。

 ②住宅ローンの債務者は、夫と妻が連帯して債務者になっている場合もありますが、夫が債務者になっているのがほとんどです。

 ③保証人は、妻か保証会社がなっていることが多いでしょう。 

 ④売却後に住宅ローンが残るかどうかは、現在のマンションの価格から住宅ローンの残高を差し引いて判断します。

 マンションの価格は、不動産業者に査定してもらうことで分かります。

 この中で重要なのは④です。 

 売却後に住宅ローンが残るかどうかによって、財産分与の対象になるかどうかが決まり、マンションの処理の方法が大きく変わるからです。

  

(2)売却後に住宅ローンが残らない場合はどうしたらいいの?

 たとえば、現在のマンションの価格が1000万円、住宅ローンの残高が500万円のように、売却後に住宅ローンが残らない場合、マンションには500万円の財産としての価値があるので、財産分与の対象になります。 

 その場合、財産分与の方法としては、①マンションを売却して売却代金を2分の1ずつ取得する方法、②どちらかがマンションを取得して、取得した方が取得しなかった方にマンションの評価額から住宅ローンの残高を引いた2分の1の現金(代償金)を払う方法があります。

(ケース①の場合)

 実際の売却代金(現金)を分けるので、清算しやすい点にメリットがあります。

 ただ、この場合、売却までに時間がかかるのがデメリットです。

 また、売却にあたって仲介手数料などの諸費用がかかるので、実際に手元に残るのは、売却代金から諸費用を引いた残金の2分の1ということになります。

(ケース②の場合)

 今後もマンションに住むことができる点にメリットがあります。

 ただ、売却しなければ住宅ローンは残るので、今後も住宅ローンを払わなければならないというデメリットがあります。

 また、マンションを取得した方は、マンションの価格から住宅ローンの残高を引いた金額(500万円)の2分の1(250万円)の代償金を払わないといけないので、支払能力が必要です。 

 さらに、この場合、マンションの評価額について対立することが多いので、その点について合意できるかどうかも問題になります。

 したがって、②の方法によるときは、これらの問題点をクリアする必要があります。

 特に、妻がマンションを取得する場合には、住宅ローンや夫への代償金の支払能力が問題となることが多く、この点をクリアする必要があります。

 

(3)売却しても住宅ローンが残る場合はどうしたらいいの?

 これに対して、現在のマンションの価格が500万円、住宅ローンの残高が1000万円の場合のように、売却しても住宅ローンが残る場合には、マンションに財産価値はないので、マンションは財産分与の対象にはなりません。

 したがって、この場合、マンションはそのままとなり、マンションの名義も、住宅ローンの債務者も変わらないのが通常です。 

 

(4)住宅ローンが残る場合、妻が連帯保証人から外れるにはどうしたらいいの? 

 売却しても住宅ローンが残る場合、財産分与の対象にならないので、マンションの名義も、住宅ローンの債務者も変わりませんし、連帯保証人も変わらないのが通常です。

 したがって、たとえば、マンションの名義が夫で、これまで住宅ローンの支払は夫がしていたが、妻が連帯保証人になっているような場合には、離婚後も住宅ローンの支払は夫がしますが、妻は連帯保証人のままということになります。

 この場合に妻が連帯保証人から外れる方法としては、連帯保証契約の相手である金融機関の承諾を得るか、あるいは借り換えによって一度住宅ローンを全額返済して再度住宅ローンを組む必要があります。

 ただし、金融機関は、離婚をするからといって、連帯保証人から外れることを簡単に承諾してくれません。

 連帯保証人は、あくまで住宅ローンの支払を担保する手段なので、金融機関の承諾を得るためには、別の保証人を立てるか、住宅ローンの一部を返済するなどして、担保に代わる条件を提示する必要があります。

 

(5)住宅ローンが残る場合、妻と子供がマンションに住むためにはどうしたらいいの?

 売却して住宅ローンが残る場合であっても、離婚後も妻が子供と一緒にマンションに住みたいと考えることも多いでしょう。

 その場合、マンションの名義も住宅ローンの債務者も夫であれば、金融機関の承諾を得て、マンションの名義や住宅ローンの債務者を妻に変更する必要があります。

 もっとも、専業主婦のように、住宅ローンの支払能力がない場合には、そのようなことはできません。

 その場合、夫の同意を得て、マンションの名義も住宅ローンの債務者も夫にしたまま、妻と子供がマンションに住むこともできます。

 ただ、夫が将来も住宅ローンの支払を続けてくれる保証はありません。夫が住宅ローンを支払わなければ、当然、金融機関から強制執行をされて明渡を求められるので、非常に不安定な立場になることを覚悟する必要があります。

  

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、マンションは夫名義であっても、結婚後に購入して住宅ローンを払ってきたのであれば、名義は関係ないので、財産分与の対象になりますが、住宅ローンがかなり残っていることからすると、売却しても住宅ローンが残ってしまうと思われます。

 その場合、マンションは、結果として財産分与の対象にならず、そのままとなり、マンションの名義も、住宅ローンの支払も夫のままということになります。

 ご相談者が離婚後もマンションに住むことを希望しても、専業主婦であることを考えると、ご相談者が住宅ローンを払ってマンションに住み続けることは難しいでしょう。

 夫が同意すれば、夫が住宅ローンの支払をしたまま、ご相談者がマンションに住むことも考えられますが、夫が住宅ローンの支払をしなければ明渡を求められることになるので、その点に注意が必要です。

 

5.今回のポイント

 住宅ローンが残っているマンションを財産分与するにあたっては、①マンションの名義は誰か、②住宅ローンの債務者は誰か、③保証人は誰か、④マンションを売却した後の住宅ローンが残るかを確認する必要があります。

 マンションを売却した後に住宅ローンが残らない場合、マンションは財産分与の対象になります。 

 その場合、財産分与の方法として、①マンションを売却して売却代金を2分の1ずつ取得する方法、②どちらかがマンションを取得して、取得した方が取得しなかった方にマンションの評価額から住宅ローンの残高を引いた2分の1の現金(代償金)を払う方法があります。

 売却しても住宅ローンが残る場合には、マンションは財産分与の対象にはなりません。

 この場合、マンションはそのままとなり、マンションの名義、住宅ローンの債務者、連帯保証人は変わりません。

 妻が連帯保証人から外れる方法としては、連帯保証契約の相手である金融機関の承諾を得るか、あるいは借り換えによって一度住宅ローンを全額返済して再度住宅ローンを組む必要があります。

 金融機関の承諾を得るためには、別の保証人を立てるか、住宅ローンの一部を返済するなどして、担保に代わる条件を提示する必要があります。 

 専業主婦のように支払能力がない場合であっても、夫の同意を得て、マンションの名義も住宅ローンの債務者も夫にしたまま、妻と子供がマンションに住むこともできますが、夫が住宅ローンを支払わなければ、金融機関から強制執行をされて明渡を求められる危険があります。

 

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弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 20万円 

  報酬金 20万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 30万円 

  報酬金 30万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金

  着手金 10万円 

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

CONTACT Tel.03-6912-3900