2016.04.28更新

今回は、妻が子供を連れて出て行ったご主人から、子供の連れ戻しについてのご相談です。 

 

1.ご相談者 
 
 30代の男性(会社員) 

 ①妻は20代(主婦)

 ②婚姻期間は5年

 ③幼稚園の子供が1人


2.ご相談の内容

 妻が突然離婚すると言って、実家に子供を連れて出て行きました。子供に会いたいのですが、妻が子供に会わせてくれません。

 実力で供を連れ戻しても犯罪になったり、不利に扱われたりしないでしょうか。 

 

3.ご相談への回答

 別居中に夫婦の一方が監護している子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性があります。

 また、仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があります。

 

(1)実力で子供を連れ戻すと犯罪になるの?

 夫婦は、離婚するまでは両方とも親権者として子供を監護養育する権利(監護権)を持っていますが、親権者であっても、別居中に夫婦の一方が監護している子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性があります。

 例えば、離婚の係争中、夫が、別居中の妻が養育していた2歳の長男を、保育園から帰る途中に車で連れ去った事案で、裁判所は、妻とその両親に監護養育されて平穏に生活していた長男を連れ去った行為は未成年者略取罪にあたり、長男の監護養育上そのような行動に出る必要がある特段の事情もなく、行為態様が粗暴で強引であること、長男が自分の生活環境についての判断選択の能力が備わっていないこと、略奪後の監護養育について確たる見通しもないことから、家族間の行為として社会通念上許容できないとして、未成年者略取罪を認めました(最高裁平成17年12月6日決定)。

 この事案では、夫に懲役1年、執行猶予4年の刑が言い渡されています。 

 また、離婚の係争中、離婚を拒否しているオランダ人の夫が、別居中の妻が養育していた2歳4か月の長女を、オランダに連れて行く目的で、入院中の病院から車で連れ去った事案で、裁判所は、妻の下で平穏に暮らしていた長女を 、外国に連れ去る目的で、入院中の病院から連れ出して自分の支配下に置いたのであるから国外移送略奪罪にあたり、病院のベッドから両足を引っ張って逆さに吊り上げ、脇に抱えて連れ去り、自動車に乗せて発進した態様は悪質で、親権者の1人であるとしても違法性は阻却されないとして、国外移送略取罪を認めました(最高裁平成15年3月18日決定)。

 この事案では、妻の実家の玄関のガラスを割った器物損壊罪も含めて、夫に懲役2年、執行猶予3年の刑が言い渡されています。

 このように、子供を無理やり連れ戻すと、犯罪として処罰される可能性がありますので、実力で子供を連れ戻すことはしない方がよいでしょう。

 

(2)実力で子供を連れ戻すと何か不利になるの?

 仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があります。

 例えば、心療内科を受診し、実家に帰っていた妻が、子供を保育所から連れ出したことから、夫が子供の引渡を求めた事案で、裁判所は、別居中の夫婦の一方の下で事実上監護されていた未成年者を他方が一方的に連れ去った場合に、監護していた親権者が速やかに未成年者の仮の引渡を求める申し立てをしたときは、従前の監護に戻すと未成年者の健康が著しく損なわれたり、必要な養育監護がなされなかったりするなど、未成年者の福祉に反することが見込まれる特段の事情がない限り、子供の引渡を認めるのが相当であるとして、夫の請求を認めました(東京高裁平成20年12月18日決定)。

 このように、実力で子供を連れ去ることは違法と評価され、子供の引渡等で不利な事情として扱われるので、この点からも実力で子供を連れ戻すことはしない方がよいでしょう。 

 

(3)子供を連れ戻すにはどうしたらいいの?

 子供を連れ戻すためには、子供の引渡を求める裁判をするほかありません。

 子供の引渡を求める方法としては、①人身保護法に基づいて子供の引渡請求の訴訟を提起する方法と、②監護権者の指定と子供の引渡の審判の申立、審判前の保全処分の申立をする方法があります。

 以前は、①の方法が採られていました。

 ところが、夫が3歳と4歳の子供(いずれも女児)を連れて墓参に行き、そのまま夫の実家で生活するようになったため、妻が人身保護法に基づいて子供の引渡を請求した事案で、最高裁は、夫による幼児の監護は、親権に基づくものとして特段の事情がない限り適法であるから、引渡請求が認められるためには、夫の監護が子供の幸福に反することが明白であることを要するとし、本件では、夫も妻も、子供に対する愛情、監護意欲、居住環境の点で差がなく、経済的な面では妻は夫に比べて劣るのであり、夫が子供を監護することがその幸福に反することが明白とはいえないとして、妻の引渡請求を認めませんでした(最高裁平成5年10月19日判決)。

 同様に、妻が実家に連れて帰った子供(女児)を、夫が小学校付近で車に乗せて連れて行ったため、妻が人身保護法に基づいて子供の引渡を請求した事案で、最高裁は、人身保護法による引渡請求が認められるのは、夫が幼児の引渡命令の仮処分又は審判等に従わない場合や、妻の監護の下では安定した生活を送ることができるのに、夫の監護の下では著しく健康が損なわれたり、満足な義務教育を受けることができない等の例外的な場合であるとし、本件では、気管支喘息を悪化させるおそれがあるというだけで、具体的に健康が害されるとはいえず、子供は学童として支障のない生活を送っているのであるから、夫の監護がこの幸福に反することが明白とはいえないとして、妻の引渡請求を認めませんでした(最高裁平成6年4月26日判決)。

  このように、人身保護請求によって子供の引渡が認められる可能性が低くなったことから、現在では、一般的に②の方法が採られています。

 

(4)子供の引渡が認められる判断基準は?

 子供の引渡は、いずれが監護するのが適当かということなので、その判断基準は、監護権者の指定のときの基準と同じです。   

 裁判所は、監護権者を決めるにあたって、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。

 具体的には、父母の事情として、父母の監護の能力や意欲、経済状況、家庭環境、これまでの監護の状況等が考慮され、子供の事情として、子供の年齢、性別、兄弟姉妹の有無、発育状況、子供の意向、環境への適応状況等が考慮されます。

 このような事情をもとに、監護の継続性を尊重すべきとする原則や、乳幼児については母親を優先させるべきとする原則、子供の意思を尊重すべきとする原則、兄弟姉妹は分離すべきでないとする原則、面会交流に寛容な親を優先すべきとする原則等を基準として、最終的に監護権者を決定します。

 

(5)子供の引渡はどんな場合に認められるの?

 例えば、妻が6歳と4歳の子供を連れて実家に帰ったため、夫が妻に対し監護者の指定と子供の引渡を求めた事案で、裁判所は、妻が子供の監護を家族に任せて、自らはほとんど関わっていないこと、子供の起床・就寝時間が遅く、菓子で食事を代替するなど不規則な生活を送っていること、夫は勤務時間を調整するなど適切な監護体制を整え、監護意欲も高いこと、別居後も子供と面会交流し、関係が良好であること、長女は夫との同居に積極的な意向を示していること等を理由に、夫を監護者と指定し、子供の引渡を認めました(福岡家裁平成26年3月14日審判)。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、子供が既に妻の下で生活しているので、子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性がありますし、仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があるので、実力で子供を連れ戻すことはしない方がよいでしょう。

 ご相談者が子供の引渡を求める方法としては、監護権者の指定と子供の引渡の審判の申立、審判前の保全処分の申立をするのがよいでしょう。

 子供の引渡が認められるかどうかは、 父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断するので、ご相談者の場合に直ちに子供の引渡が認められるかどうかは分かりませんが、上の判例で述べたような事情があれば、子供の引渡が認められる可能性はあると言えます。

 

5.今回のポイント

 別居中に夫婦の一方が監護している子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性があります。

 仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があります。 

 子供の引渡を求める方法としては、一般的に、監護権者の指定と子供の引渡の審判の申立、審判前の保全処分の申立をする方法が採られています。

 子供を引き渡すかどうかは、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。 

 

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弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 20万円

  報酬金 20万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 30万円   

  報酬金 30万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金

  着手金 10万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 








2016.04.25更新

今回は、離婚の話し合いをしているご主人から監護権についてのご相談です。

 

1.ご相談者 
 
 40代の男性(会社員) 

 ①妻は40代(主婦)

 ②婚姻期間は12年

 ③小学生が1人、幼稚園児が1人


2.ご相談の内容

 現在、妻と離婚の話をしていますが、親権をどちらにするのかで揉めています。

 親権の他に監護権があると聞いたのですが、私が親権者になれない場合に、監護権を持つことはできるでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 親権者と監護権者は一致するのが原則で、親権者と監護権者を分けるのは例外です。

 親権者にはなれないが、監護権者となるためには、親権者と監護権者を分ける必要があり、しかも、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、子供の福祉の観点から監護権者として相応しいと判断された場合に監護権者となることができます。 

 

(1)監護権って親権とどう違うの?

 監護権とは、子供を監督、保護し、養育すること(身上監護)をいいます(民法766条)。

 離婚する場合には、父母のどちらか一方を子供の親権者と決める必要がありますが(民法819条)、親権は子供の身上の監護と財産の管理を内容とします。

 したがって、親権と監護権とは、身上監護の点で重なることになり、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありません。

 

(2)どんな場合に監護権が認められるの?

 このように、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありませんし、身上監護権と財産管理権とをそれぞれ別の親に帰属させると、それぞれ対応が異なって、かえって不都合が生じるので、親権者と監護権者は一致するのが原則です。

 ただ、監護・養育は問題ないが、財産管理に問題があるような場合や、父母双方が関与することが子供の健全な成長にとってよい場合父母とも監護が不可能又は不適当な場合に第三者に子供を監護させる場合等には親権者とは別に監護権者を決める必要があります。

 また、離婚する前に別居していて子供を奪い合っているような場合にも、父母のどちらか一方を監護権者と決めることもあります。 

 

(3) どうやって監護権者を決めるの?

 離婚するにあたって、特に監護権者を決める必要がある場合、まずは協議によって決めますが、協議でまとまらなかった場合には、家庭裁判所で決めることになります。

 裁判所は、監護権者を決めるにあたって、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。

 具体的には、父母の事情として、父母の監護の能力や意欲、経済状況、家庭環境、これまでの監護の状況等が考慮され、子供の事情として、子供の年齢、性別、兄弟姉妹の有無、発育状況、子供の意向、環境への適応状況等が考慮されます。

 このような事情をもとに、監護の継続性を尊重すべきとする原則や、乳幼児については母親を優先させるべきとする原則子供の意思を尊重すべきとする原則兄弟姉妹は分離すべきでないとする原則面会交流に寛容な親を優先すべきとする原則等を基準として、最終的に監護権者を決定します。

 

(4)例えば、どんな場合に認められるの?

  例えば、 夫が親権者である妻に対して、妻が子供に夫を拒絶するよう仕向け、面会交流を妨害していることを理由に親権者変更の申立をした事案で、裁判所は、夫が面会交流の確保を条件に妻を親権者とすることに同意したのに、妻の言動により子供が面会交流を拒否するようになったこと、履行勧告や第三者機関の利用によっても面会交流が実現されず、親権者変更以外に面会交流実現の手段がないこと、従来、交代で監護して最低限の協力関係があり、夫の監護は妻の監護と比べて甲乙つけ難く、親権者として監護養育の十分な実績と能力があること、親権と監護権を分属させることによって子供を葛藤状態から解放する必要があることを理由に、親権者を妻から夫に変更し、監護権者は妻としました(福岡家裁平成26年12月4日審判)。

 また、妻が子供を連れて実家に帰った後、夫から親権者を夫とする離婚届が提出されたため、妻が親権の変更を求めた事案で、裁判所は、母親としての監護能力に問題はなく、2人の子供は母と暮らすことを希望し、もう1人の子供は女児の幼児で母親の下で養育されるのがより適切であるから、子供の監護は母親に任せるのが子の福祉に適うとする一方、母親は、消費者金融から多額の借入をし、高額商品を換金し、その使途も不明であり、金銭管理能力に大きな不安があることを理由に、親権者を父親とし、監護権者を母親としました(横浜家裁平成21年1月6日審判)。

 ほかにも、妻の母(祖母)が夫婦の子供(孫)の監護権者の指定を求めた事案で、裁判所は、祖母は、既に孫と同居して適切に監護し、孫も祖母に自然な愛情を感じているから、祖母が孫の監護を継続することが子の福祉に合致する一方、孫は、父母によい感情を有しておらず、父は孫の姉を虐待して死亡させ、母も孫を祖母に預けると述べて、責任ある養育態度や監護に対する意欲を見せていないことを理由に、祖母を監護権者としました(金沢家裁七尾支部平成17年3月11日審判)。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、親権で揉めているということなので、まだ、どちらを親権者とするのか決まっていない状況だと思いますが、親権者が決まっておらず、子供を奪い合っているような場合には、裁判で監護者をどちらにするかを決めることになり、その場合に父親が監護権者となることはありえます。

 ただ、ご相談者の質問が「親権が取れないので、何とか監護権を取りたい」ということだとすると、親権者と監護権者は一致するのが原則なので、親権者と監護権者を分ける必要があり、しかも、子供にとってご相談者が監護権者になるのがふさわしいという事情がないと監護権者になるのは難しいでしょう。

 その場合は、面会交流の交渉が重要になります。

 

5.今回のポイント

 親権と監護権とは、身上監護の点で重なるので、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありません。

 親権者と監護権者は一致するのが原則ですが、親権者とは別に監護権者を決める場合もあります。

 監護権者を決めるにあたっては、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。

  

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弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 20万円

  報酬金 20万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 30万円   

  報酬金 30万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金

  着手金 10万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

 

 

2016.04.20更新

今回は、夫から精神的暴力(暴言)を受けている奥様から、保護命令についてのご相談です。

 

1.ご相談者
 
 40代の女性(主婦) 

 ①夫は40代(会社員)

 ②婚姻期間は11年

 ③小学生の子供が1人

 

2.ご相談の内容

 夫は、結婚当初から、私の態度が気に入らないと「バカ野郎」「お前は女中以下だ」「誰のおかげで生活できるんだ」等と怒鳴り散らして暴言を吐き、子供にも「言うことを聞かないなら家から出て行け」等と大声で怒鳴ります。子供を連れて離婚しようと思っていますが、夫が追いかけてこないか心配です。

 DV夫の暴言を理由に保護命令は認められるでしょうか? 

 

3.ご相談への回答

 単なる侮辱程度の精神的暴力(暴言)では保護命令は認められません。

 ただ、単なる暴言であっても、それによって傷害を生じ、刑法上の傷害罪に当たるような場合には、保護命令が認められる可能性もあります。 

 

(1)保護命令が認められるためにはどんな暴力・脅迫が必要なの?

 保護命令が認められるためには、①被害者が生命・身体に危害を与える身体に対する暴力や、②生命・身体に対する脅迫を受けたことが必要です。

 ①「身体に対する暴力」とは、身体に対する不法な攻撃で、生命・身体に危害を及ぼすものをいい、具体的には、刑法上の暴行罪・傷害罪に当たる行為をいいます。

 ②「生命・身体に対する脅迫」とは、生命・身体に害を加える旨の告知をいい、刑法上の脅迫罪に当たる行為をいいます。例えば、「殺すぞ」「殴るぞ」等がこれに当たります。

 

(2)精神的暴力(暴言)の場合に保護命令は認められないの?

  先程述べたとおり、保護命令が認められるためには、「生命・身体」に対する脅迫であることが必要なので、「バカ」「アホ」等、単に侮辱する程度の精神的暴力(暴言)では保護命令は認められません。

 DV防止法は、配偶者からの暴力(DV)とは「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」をいうとしているので、精神的暴力(暴言)もDVに含まれますが、保護命令の対象はあくまで生命・身体に対する脅迫なので、精神的暴力(暴言)について保護命令は認められないのです。

  ただ、精神的暴力(暴言)であっても、それによって傷害が生じ、刑法上の傷害罪に当たるような場合には、保護命令が認められる可能性もあります。

 例えば、妻が夫から長年、毎日のように「おまえは使うことだけできて働けない無能な女だ」「家事なんて仕事のうちじゃない」「物を買いすぎる。1日1000円でも使いすぎだ。」「死ね」等と非難され、別居の直前には拳を妻の顔めがけて振り回し、寸止めすることを繰り返され、PTSDと診断された事案で、裁判所は、保護命令を認めました(静岡地裁平成14年7月19日決定)。

 この判例は、直接、身体に対する暴力がない場合であっても、PTSDになった場合に、保護命令の対象となる暴力に該当すると判断したものと理解されています。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、夫から「バカ野郎」「お前は女中以下だ」「誰のおかげで生活できるんだ」等と怒鳴り散らして暴言を吐かれているとのことですが、生命・身体に対する脅迫にはあたりませんので、保護命令は認められません。

 ただ、暴言の程度にもよりますが、それによってPTSD等の傷害が生じているような場合には、例外的に保護命令が認められる可能性もあります。

 

5.今回のポイント

 保護命令が認められるためには、②生命・身体に対する脅迫を受けたことが必要です。

 「バカ」「アホ」等、単に侮辱する程度の精神的暴力(暴言)では保護命令は認められません。

 ただ、精神的暴力(暴言)であっても、それによって傷害が生じ、刑法上の傷害罪に当たるような場合には、保護命令が認められる可能性もあります。

 

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弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 20万円

  報酬金 20万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 30万円   

  報酬金 30万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金

  着手金 10万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

2016.04.19更新

今回は、夫からDVを受けている奥様から、保護命令の内容と流れについてのご相談です。

 

1.ご相談者 
 
 30代の女性(主婦) 

 ①夫は30代(会社員)

 ②婚姻期間は6年

 ③幼稚園の子供がいる


2.ご相談の内容

 夫は、口論になると、すぐに手を出して殴ったり、髪の毛を引っ張ったりして暴力を振るい、毎回、打撲や痣ができるほどです。逃げたこともありますが、追いかけてきて力づくで戻されてしまいました。

 DVの夫と離婚したいのですが、保護命令の内容と流れを教えて下さい。

 

3.ご相談への回答

 保護命令には、①接近禁止命令、②退去命令、③子供への接近禁止命令、④親族等への接近禁止命令、⑤電話等の禁止命令があります。 

 管轄の地方裁判所に保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明します。相手方は、後日、裁判官と面接して意見を述べます。

 裁判所が保護命令を発令するのが相当と考えた場合には、早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令の申立にあたっては、事前に警察署やDVセンター等に相談に行っておく必要があります。

 

(1)保護命令って何?

  保護命令は、被害者が配偶者から生命・身体に危害を与える身体に対する暴力や、生命・身体に対する脅迫を受け、さらに配偶者の身体に対する暴力によって、生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、裁判所が配偶者による生命・身体の危害を防止するための措置を命じる制度です。

 保護命令には、①接近禁止命令、②退去命令、③子供への接近禁止命令、④親族等への接近禁止命令、⑤電話等の禁止命令があります。

 ①接近禁止命令は、被害者の身辺につきまとい、被疑者の住居や勤務先等の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、6か月間、つきまといや徘徊が禁止されます。 

 ②退去命令は、被害者と同居している住居から退去し、その住居の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、2か月間、住居から退去し、徘徊が禁止されます。

 ③子供への接近禁止命令は、被害者と同居している未成年の子供の身辺につきまとい、住居や学校等の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、6か月間、つきまといや徘徊が禁止されます。

 この命令が発令される前提として、接近禁止命令(①)が発令されることが必要です。 

 ④親族等への接近禁止命令は、親族等の身辺につきまとい、住居や勤務先等の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、6か月間、つきまといや徘徊が禁止されます。

 この命令が発令される前提として、接近禁止命令(①)が発令されることが必要です。

 ⑤電話等の禁止命令は、迷惑行為を禁止する命令です。

 迷惑行為には、ⓐ面会要求、ⓑ被害者の行動を監視していると思わせるような事項を告げること、©著しく乱暴な言動、ⓓ無言電話、ⓔ連続して電話、ファックス、電子メールの送信、ⓕ午後10時から午前6時まで電話、ファックス、電子メールの送信、ⓖ汚物等著しく不快な物の送付、ⓗ名誉を害する事項を告げること、ⓘ性的羞恥心を害する事項を告げ、または文書・図画の送付があります。

 命令が出ると、6か月間、迷惑行為が禁止されます。

 この命令が発令される前提として、接近禁止命令(①)が発令されることが必要です。

  

(2)保護命令はどんな場合に認められるの?

 保護命令が認められるためには、①被害者が生命・身体に危害を与える身体に対する暴力や、生命・身体に対する脅迫を受けたこと、②配偶者から暴力・脅迫を受けたこと、③被害者がさらなる配偶者の身体的暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要です。

 ①「身体に対する暴力」とは、身体に対する不法な攻撃で、生命・身体に危害を及ぼすものをいい、具体的には、刑法上の暴行罪・傷害罪に当たる行為をいいます。

 また、「生命・身体に対する脅迫」とは、生命・身体に害を加える旨の告知をいい、刑法上の脅迫罪に当たる行為をいいます。例えば、「殺すぞ」等がこれに当たります。

 ②暴力や脅迫をする「配偶者」の中には、婚姻届を出していないが、事実上婚姻関係(内縁関係)にある人も含まれます。

 また、内縁関係に至らなくても、生活の本拠を共にして交際している人も、保護命令の対象になります。

 ③「さらなる身体的暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい」とは、被害者が殺人や傷害、暴行の危害を受ける危険性が大きい場合をいいます。

 具体的にどのように判断するかというと、これは保護命令が認められなかった事案ですが、夫が10年前に暴力を振るって妻に怪我を負わせ、別居する1年前にも暴力を振るって怪我をさせ、別居する直前にも手を掴んで外へ引っ張り出したという事案で、裁判所は、「被害者がさらなる配偶者の暴力により生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」とは、単に将来暴力を振るうおそれがあるというだけでは足りず、従前配偶者が暴力を振るった頻度、暴力の態様及び被害者に与えた障害の程度等の諸事情から判断して危険性が高い場合をいうとし、本件では夫が妻に対してさらに暴力を振るって生命・身体に重大な危害を与える危険性が高いとはいえないとして、保護命令を認めませんでした(東京高裁平成14年3月29日決定)。

 このように、「さらなる暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい」かどうかは、配偶者が暴力を振るった頻度、暴力の態様、傷害の程度によって判断されます。 

 

(3) 保護命令の申立ての前にしておくことは何?

 保護命令の申立書には、警察署や配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)等に相談した事実を記載する必要があります。

 具体的には、相談した機関の名称、相談した日時・場所、相談した内容、相談に対して執られた措置の内容を記載する必要があります。

 また、申立後、裁判所は、警察署等の相談機関に相談内容を記載した書面を提出するよう連絡します。

 そのため、保護命令の申立にあたっては、事前に警察署やDVセンター等に相談に行っておく必要があります。

 事前に相談にしていない場合には、DVの状況、さらに生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認められる事情等を供述して、公証人の認証を受けた書面を提出する必要があるので、公証役場に行く必要があります。

 

(4)保護命令の申立はどうすればいいの?

 保護命令の申立は、相手方の住所、自分の住所・居所、暴力・脅迫が行われた場所を管轄する地方裁判所にします。

 申立書には、保護命令の内容、暴力や脅迫を受けた状況、生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい事情の他、警察等に相談した事実を記載します。

 また、子供や親族への接近禁止命令を求める場合には、子供や親族について相手方との面会を余儀なくされることを防止する必要があることを示す事情を記載する必要があります。

 申立にあたっては、戸籍謄本・住民票や、診断書や写真等の暴力・脅迫を受けたことを証明する資料が必要です。

 また、子供や親族への接近禁止命令を求める場合には、子供(15歳以上の場合)・親族の同意書や、署名が本人のものであることが分かる資料(手紙、テスト等)、対象となる人の戸籍謄本・住民票、接近禁止の必要性を示す資料が必要です。

 

(5)申立後の手続の流れはどうなってるの?

 保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明します。時間は2時間程度です。

 申立人の面接が終了すると、今度は1週間程度した後、相手方が裁判官と面接して、意見を述べます。その上で、裁判所は、保護命令を発令するかどうかを決めます。

 裁判所が保護命令を発令するのが相当と考えた場合には、早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令が発令されると、裁判所は、被害者の住所を管轄する警察本部や相談したDVセンターに連絡します。

 

(6)保護命令にはどんな効力があるの?

 保護命令が発せられても、強制的に配偶者のつきまといや徘徊を止めさせたり、電話等を止めさせたりすることはできません。

 しかし、保護命令が発せられると、裁判所から被害者の住所を管轄する警察本部に通知が行くので、加害者には警察から保護命令を守るよう指導や警告がなされますし、被害者から通報があれば警察官がすぐに対応し、暴行や脅迫等があれば、加害者を逮捕してもらうこともできます。

 また、保護命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられるので、その限度では抑止力があるといえます。   

  ただ、実際に保護命令違反によって処罰されることも少なくありませんし、殺人事件に発展することもあるので、被害者からすると不十分と感じるところがあるかもしれませんが、何かあればすぐに警察に通報する準備だけはしておきましょう。

  

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、夫から暴力を振るわれて、打撲や痣ができるということなので、明らかにDVに当たりますから、保護命令の申立をするのがよいでしょう。 

 申立にあたっては、①接近禁止命令、②退去命令、⑤電話等の禁止命令が一般的ですが、夫が子供の居場所を探していたり、親族にあなたの居場所を聞いているような場合には、③子供への接近禁止命令や、④親族等への接近禁止命令を求める必要があります。

 管轄のある地方裁判所に保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明し、その後、1週間程度した後、今度は相手方が裁判官と面接して、意見を述べます。

 裁判所が保護命令を発令するのが相当と考えた場合には、早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令が発令されると、裁判所は、被害者の住所を管轄する警察本部や相談したDVセンターに連絡するので、安心して下さい。

 

5.今回のポイント

 保護命令には、①接近禁止命令、②退去命令、③子供への接近禁止命令、④親族等への接近禁止命令、⑤電話等の禁止命令があります。 

 保護命令が認められるためには、①被害者が生命・身体に危害を与える身体に対する暴力や、生命・身体に対する脅迫を受けたこと、②配偶者から暴力・脅迫を受けたこと、③被害者がさらなる配偶者の身体的暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要です。 

 保護命令の申立にあたっては、事前に警察署やDVセンター等に相談に行っておく必要があります。

 保護命令の申立は、相手方の住所、自分の住所・居所、暴力・脅迫が行われた場所を管轄する地方裁判所にします。その際、戸籍謄本・住民票や、診断書や写真等の暴力・脅迫を受けたことを証明する資料が必要です。

 保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明し、その後、1週間程度した後、今度は相手方が裁判官と面接して、意見を述べます。

 裁判所が保護命令を発令するのが相当と考えた場合には、早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令が発令されると、裁判所は、被害者の住所を管轄する警察本部や相談したDVセンターに連絡します。

 保護命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

  

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弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 20万円

  報酬金 20万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 30万円   

  報酬金 30万円+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金

  着手金 10万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

2016.04.18更新

今回は、お父様が亡くなられた弟様から、遺留分の請求の方法についてのご相談です。


Q 父は、兄に全ての遺産を相続させる遺言をして亡くなりました。兄に遺留分を請求したいのですが、どうすればよいでしょうか。

 
A 遺留分の請求は、相続の開始と、遺留分を侵害している贈与や遺贈があったことを知ったときから1年以内、あるいは相続開始後、10年以内に請求する必要があります。

遺留分を侵害されている場合、遺留分を有する相続人は、遺留分を侵害している者に、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺留分減殺の請求をすることができます。

この請求は、相続の開始と、遺留分を侵害している贈与や遺贈があったことを知ったときから1年以内、あるいは、相続開始後10年以内に行使しなければなりません。

遺留分減殺請求は、口頭で行うことも可能ですが、口頭の場合、後で紛争になった場合に立証することができないので、内容証明郵便によって通知するのが一般的です。

あなたの場合、兄に全ての遺産を相続させる遺言によって遺留分を侵害されていることは明らかですから、父が亡くなり兄に全ての遺産を相続させる遺言があることを知ったときから1年以内に、兄に対して内容証明郵便で遺留分減殺請求することになります。


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2016.04.15更新

今回は、お兄様が亡くなられた方から、遺留分についてのご相談です。


Q.兄が亡くなりました。兄には内縁の妻がいますが、遺産の全部を内縁の妻に贈与する遺言をしました。
遺留分という制度があると聞いたのですが、私に遺留はないのでしょうか?


A.兄弟姉妹に遺留分はありません。

民法1028条は、相続人に遺留分を認めていますが、兄弟姉妹は除かれています。

したがって、弟のあなたに遺留分はありません。


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2016.04.14更新

今回は、兄に遺産の全部を相続させるという遺言のある弟から、自分は相続できないのかというご相談です。


Q 父が亡くなりました。相続人は兄と私(二男)です。遺産は、預金(1000万円)と自宅(3000万円)の不動産です。
父は、遺産の全部を兄に相続させるという遺言をしました。その場合に、私は何も相続できないのでしょうか。
 

A 兄弟姉妹の相続人以外の相続人については、遺産の一定の割合について請求できることが認められています。
これを遺留分(いりゅうぶん)と言います。

遺留分の割合については、直系尊属のみが相続人の場合は、遺産の3分の1、それ以外の場合は、遺産の2分の1となります。

遺留分の算定の基礎となる財産は、相続開始時の遺産の額に贈与した財産の額を加えて、そこから債務の額を控除した額です。

あなたの場合、遺留分の割合は2分の1ですから、それに対するあなたの法定相続分2分の1、つまり、遺産の4分の1を遺留分として兄に請求することができます。

具体的には、遺産は1000万円の預金と3000万円の不動産ですので、あなたは、兄にその4分の1の1000万円を遺留分として請求することができます。


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2016.04.12更新

今回は、お父様が亡くなられた方から、寄与分についてのご相談です。


Q 父が亡くなりました。相続人は、私(長男)と妹です。
私は、高校を卒業してから父の家業を手伝い、途中からは父に代わって会社を大きくしました。
また、父が認知症になってから亡くなるまでの3年間は、私が父の介護をしてきました。
妹は何もしていないのに、妹と相続分が同じというのは納得が行きませんが、私が妹より多く相続することはできないのでしょうか。
寄与分があると聞いたのですが、どんな制度でしょうか。
 

A 共同相続人の中に、被相続人の事業に対して労務や財産を提供したり、療養看護を行ったりして、被相続人の財産の維持、増加に特別の寄与をした相続人がいる場合には、衡平の観点から寄与の程度に応じて相当額をその相続人に取得させることができます。
これを寄与分(きよぶん)と言います。

寄与分が認められるためには、相続人がした寄与行為が被相続人との身分関係から生じる義務、例えば扶養義務の程度を超えるような特別の寄与が必要です。
したがって、扶養義務の範囲内の行為に寄与分は認められません。

また、寄与行為によって、被相続人の財産が維持され、あるいは増加したことが必要になります。

あなたの場合、父の家業を手伝い、父に代わって会社を大きくしてきたということなので、寄与の程度に応じて寄与分が認められる可能性があります。

また、認知症の父を介護していた点についても、介護の程度にもよりますが、扶養の程度を超えて介護がなされ、それによって被相続人の財産が維持されたような場合には、寄与分が認められる可能性があります。


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2016.04.08更新

今回は、お母様が亡くなられた方から、1人の相続人が生前に贈与を受けているときの相続についてのご相談です。


Q 母が亡くなりました。相続人は、兄と私です。遺産は、自宅(4000万円)と預金5000万円です。
兄は、生前に母から会社の事業資金として1000万円を出してもらっています。このような場合に、兄が受け取った1000万円は相続にあたって考慮されないのでしょうか
 

A 共同相続人の中で、被相続人から遺言により贈与を受けたり(これを「遺贈」といいます。)、生前に婚姻や養子縁組のために贈与されたり、生計の資本として贈与された相続人がいる場合、これらの金額を加えたものを相続財産とみなして相続分を算定します。

これを特別受益といいます。

特別受益がある場合、遺贈あるいは生前贈与の金額を控除した残額がその人の相続分となります。

ご相談者の場合にも、母が兄への贈与を除いて遺産を分けるといった意思表示をしない限り、兄に贈与した額を遺産の額に加えて遺産を分配することになります。

具体的には、遺産(9000万円)に、兄へ贈与した額(1000万円)を加えた総額は1億円になりますので、あなたの相続分は5000万円となり、兄は4000万円をそれぞれ遺産から受け取ることになります。


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2016.04.07更新

今回は、お父様が亡くなられた方から、兄弟で住む県が違うときの遺産分割調停の申立ての場所についてのご相談です。


Q 先日、父が埼玉の実家で亡くなりました。相続人は、兄と私(二男)ですが、兄は神奈川、私は東京にいます。遺産分割の調停の申立はどこにすればよいでしょうか。

 

A 遺産分割の調停の管轄は、相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。
審判の場合、管轄は被相続人の住所地または相続開始地(被相続人の死亡地)の家庭裁判所です。

したがって、調停の場合は、神奈川の家庭裁判所、審判の場合は、埼玉の家庭裁判所に申立てをすることになります。


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