2016.07.09更新

離婚を考えている奥様から、財産分与の際の、親から援助されたマンションの住宅ローンの頭金についてのご相談です。

結論:親から援助された住宅ローンの頭金も返還される場合があります。

詳しくは下記のブログをお読みください。

離婚の財産分与でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~17:00)タップするとつながります。

  ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。

  

1.ご相談者

 50代の女性(主婦)

 ①夫は50代(会社員)

 ②婚姻期間は26年

 ③財産はマンション

 

2.ご相談の内容

 結婚当初から、夫の両親と折り合いが悪く、そのことが原因でよく夫と口論になりました。夫とは性格も合わず、子供も成人したので、離婚をしたいと思っています。

 当時3000万円のマンションを購入した際に、私の親から300万円の援助を受けて頭金にしました。名義は夫が10分の9、私が10分の1です。現在、マンションは2000万円まで値下がりし、住宅ローンも1000万円残っています。

 離婚の財産分与にあたって、親から援助(贈与)された300万円は返してもらえるのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 親から援助されたお金も返還される場合があります。ただ、援助を受けた金額がそのまま返還されるとは限りません。

 

(1)住宅ローンが残っているマンションの財産分与はどうしたらいいの?

 住宅ローンが残っているマンションの財産分与を考えるにあたっては、マンションを売却した後に住宅ローンが残るかどうかが重要です。

 売却後に住宅ローンが残らない場合には、財産分与が問題になりますが、売却後に住宅ローンが残る場合には、そもそも財産分与の対象となる財産がないので、財産分与は問題になりません。

 売却後に住宅ローンが残るかどうかは、現在のマンションの価格から住宅ローンの残高を差し引いて判断します。

 マンションの価格は、不動産業者に査定してもらうことで分かります。

 ちなみに、夫婦の共有財産といえる限り、財産の名義は関係ありません。たとえ名義が夫になっていても、マンションが夫婦の共有財産といえる場合には、財産分与の対象になります。

 

(2)売却後に住宅ローンが残らない場合にマンションの財産分与はどうなるの?

 たとえば、現在のマンションの価格が2000万円、住宅ローンの残高が1000万円の場合を見てみましょう。この場合、売却後に住宅ローンが残らず、マンションには1000万円の財産としての価値があることになります。したがって、マンションは財産分与の対象になります。 

 この場合、財産分与の方法としては、マンションを売却して売却代金を2分の1ずつ取得する方法、②どちらかがマンションを取得して、取得した方が取得しなかった方にマンションの評価額から住宅ローンの残高を引いた2分の1の現金(代償金)を払う方法があります。

 ①の場合、実際の売却代金(現金)を分けるので、清算しやすい点にメリットがあります。

 ただ、この場合、いつ売却できるか分からず、売却までに時間がかかることもあるので、この点がデメリットです。

 また、売却にあたって仲介手数料などの諸費用がかかるので、実際に手元に残るのは、売却代金から諸費用を引いた残金の2分の1ということになります。

 ②の場合、今後もマンションに住むことができる点にメリットがあります。

 ただ、売却しなければ住宅ローンは残るので、今後も住宅ローンを払わなければいけない点がデメリットです。

 また、マンションを取得した方は、マンションの価格から住宅ローンの残高を引いた金額(1000万円)の2分の1(500万円)の代償金を払わないといけないので、支払能力が必要です。

 さらに、この場合、マンションの評価額について対立することが多いので、その点について合意できるかどうかも問題になります。

 したがって、②の方法によるときは、これらの問題点をクリアする必要があります。

 特に、妻がマンションを取得する場合には、住宅ローンや夫への代償金の支払能力が問題となることが多く、この点をクリアする必要があります。

 

(3)親から援助(贈与)された頭金はどうなるの?

 財産分与は、夫婦が協力して形成した財産を清算する制度なので、夫婦の一方が結婚前に取得した財産や、結婚している間に、夫婦の一方がその人の名義で取得した財産は、夫婦の共有財産とはいえず、財産分与の対象にはなりません。

 これを「特有財産」(とくゆうざいさん)といいます。

 親から援助(贈与)された頭金も特有財産なので財産分与の対象になりません。

 したがって、頭金は親から援助された子供に返還され頭金を除いた金額を財産分与することになります。

(ケース)

 ①事案妻がマンションの頭金、ローン返済等5455万円のうち、2455万円を負担したとして、残りの分について夫に財産分与を請求

 ②結論1670万円の特有財産を認めた

 ③ポイント妻名義の定期預金は特有財産と証明できなかった、両親からの借入を裏付ける証拠があった

 ④判例:裁判所は、妻名義の定期預金は、預け入れの時点で既に婚姻後15年を経過し、妻が婚姻前から有していた特有財産とは認められないとする一方、妻が両親から借りた1670万円を妻の特有財産と認め、購入費用のうち35%を妻の特有財産とした上で、売却代金1086万円の特有財産の35%を除いた706万円の2分の1(353万円)について財産分与を認めました(東京地裁平成17年12月27日判決)。

 ただし、頭金が返還されるのは、マンションに財産としての価値がある場合なので、売却後に住宅ローンが残るため財産分与すべき財産がない場合には、頭金は返還されません。

 

(4)援助された頭金はそのまま返してもらえるの?

 援助された頭金は、援助された金額がそのまま返されるわけではありません。

 マンションを取得したときの価格と現在の価格とは違うので、援助された頭金が現在もそのまま残っているとはいえません。そのため、援助された頭金を現在のマンションの価格に応じて評価し直す必要があります。

 具体的には、援助された頭金の現在の価格=現在のマンションの価格×(援助された頭金÷取得したときのマンションの価格)によって評価します。

(ケース)

 ①事案夫が結婚前の預金270万円、養老保険の満期金、貸付信託の解約金を自宅マンションの購入資金に充てたとして、特有財産を除く財産分与を請求

 ②結論1268万円の特有財産を認めた

 ③ポイント婚姻後18年経過し、マンションの価値が相当下落している

 ④判例:裁判所は、預金は妻名義の通帳の預入日等から、また、養老保険は婚姻の翌年に契約されたものであるから、いずれも夫の特有財産とは言えないとして、貸付信託の解約金1681万円分についてのみ特有財産と認めた上で、財産分与にあたっては、現在のマンションの価格を3785万円、取得したときのマンションの価格を5020万円として、3785万円×(1681万円÷5020万円)=1268万円を夫の特有財産とし、2517万円を財産分与の対象としました(大阪高判平成19年1月23日判決)。  

 このように、援助を受けたマンションの頭金は、取得した当時のマンションの価格に対する割合を、現在のマンションの価格に評価し直して決めるので、援助を受けた金額がそのまま返ってくるとは限りません。

  一般的には、現在のマンションの価格は、取得した当時より下がっていることが多いので、援助された頭金の金額よりも低い金額となることが多いでしょう。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、現在のマンションの価格が2000万円、住宅ローンの残高が1000万円なので、売却後に住宅ローンが残らず、マンションには1000万円の財産としての価値があるので、マンションは財産分与の対象になります。

 ご相談者が親から援助されたお金は、ご相談者の固有の財産なので、財産分与にあたって返還されますが、300万円がそのまま返還されるわけではありません。

 300万円の頭金を現在のマンションの価格に応じた金額に評価し直すと、1000万円×(300万円÷3000万円)=100万円となるので、100万円が返還されることになります。

 財産分与にあたっては、たとえば、マンションを売却して1000万円が残ったとすると(実際は、諸費用を引いた金額になります。)、この中からまずご相談者が100万円を取得し、残りの900万円を2分の1ずつ分け、それぞれが450万円ずつ取得することになります。

 

5.今回のポイント

 親から援助(贈与)された頭金は特有財産なので、財産分与の対象にならず、親から援助された方に頭金が返還され、頭金を除いた金額を財産分与することになります。

 頭金が返還されるのは、マンションに財産としての価値がある場合なので、売却後に住宅ローンが残るため財産分与すべき財産がない場合には、頭金は返還されません。 

 援助を受けたマンションの頭金は、取得した当時のマンションの価格に対する割合を、現在のマンションの価格に評価し直して決めるので、援助を受けた金額がそのまま返ってくるとは限りません。 

 援助された頭金の現在の価格は、次の式で計算します。

 援助された頭金の現在の価格=現在のマンションの価格×(援助された頭金÷取得したときのマンションの価格)によって評価します。

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

 ブログを読んだけれど一人では解決できそうもない、ブログを読んで自分でやってみたけれど解決できなかったという方は、是非、当弁護士にご相談ください。

 当弁護士へのご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

 まずは、安心してお気軽にご相談ください。 

>>永田町・赤坂見附の弁護士三ツ村の離婚問題に関する情報はこちら

 

7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

 

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

CONTACT Tel.03-6912-3900