2016.05.26更新

今回は、浮気(不倫)をしたご主人から、浮気した夫が離婚するための別居期間についてのご相談です。

結論:6~8年別居していれば、離婚できる可能性があります。

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1.ご相談者

 40代の男性

 ①妻は40代

 ②婚姻期間は17年

 ③高校生と中学生の子供がいる

 

2.ご相談の内容

 私が浮気(不倫)したことが原因で、3年前に妻と別居しています。現在は、浮気(不倫)相手の女性と一緒に暮らし、子供もいます。

 浮気(不倫)した私の方からも、別居していれば離婚を請求できると聞いたのですが、何年別居していればよいのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 浮気(不倫)した方からの離婚の請求が認められるためには、少なくとも6~8年は別居している必要があります。

 

(1)浮気(不倫)した方から離婚を請求することはできるの?

 浮気(不倫)など離婚の原因を作った配偶者のことを「有責配偶者」(ゆうせきはいぐうしゃ)といいます。

 かつて、有責配偶者からの離婚請求は、正義・公平や社会倫理に照らして許されるものではありませんし、離婚について責任のない配偶者を保護する観点から認められていませんでした。

 ところが、昭和62年に、36年間浮気相手と同居し、浮気相手の子供2人を認知している夫が妻に離婚を請求した事案で、最高裁判所は、夫婦の共同生活を営む意思を確定的に喪失してその実体を欠き、回復の見込みが全くない場合には、戸籍上だけの婚姻を存続させることは不自然であるから、正義・公平の観念、社会的倫理観(信義誠実の原則)に照らして容認されるような場合には、有責配偶者からの離婚請求も認められるとしました(最高裁昭和62年9月2日判決)。

 そのため、以後、有責配偶者からの離婚請求であっても離婚が認められるようになりました。

 

(2)どんな場合に離婚請求が認められるの?

 有責配偶者からの離婚が認められると言っても、あくまで信義誠実の原則に照らして容認される場合でなければいけません。

 具体的には、①夫婦の別居が夫婦の年齢と同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること②夫婦の間位に未成熟の子がいないこと③相手の配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと、が必要とされています(最高裁昭和62年9月2日判決)。

 

(3)何年別居すればいいの?

 どれくらいの別居期間であれば「相当の長期間」といえるのかは一概にいえません。

 昭和62年の最高裁は、36年の別居期間で離婚を認めましたが、その後は、30年(最高裁昭和62年11月24日判決)、22年(最高裁昭和63年2月12日判決)、16年(最高裁昭和63年4月7日判決)とだんだん短くなり、現在はさらに短くなっています。 

(ケース1)

 ①事案浮気をした夫(52歳)が、8年間、別居した妻(55歳)に離婚を請求(同居期間23年)

 ②結論離婚を認めた

 ③ポイント別居が8年、夫が別居後も妻子の生活費を負担していた、子供が成年

 ④判例:最高裁判所は、別居期間は8年だが、夫は別居後も妻子の生活費を負担し、別居後間もなく浮気相手との関係を解消し、さらに離婚にあたり財産関係の清算について具体的で相応の誠意がある提案をし、他方、妻は夫名義の不動産に処分禁止の仮処分を執行し、成年に達した子供も離婚については母の意思に任せる意向というのであるから、格別の事情のない限り、別居期間の経過に伴い、双方の諸事情が変容し社会的意味も変化したとして、離婚を認めました(最高裁判所平成2年11月8日判決)。

(ケース2)

 ①事案浮気をした夫(52歳)が、6年間、別居した妻(51歳)に離婚を請求(同居期間22年)

 ②結論離婚を認めた

 ③ポイント別居が6年、夫の浮気について妻にも落ち度がある、子供が成人、妻の生活に支障がない

 ④判例:裁判所は、別居期間は6年であるが、もともと会話の少ない意思の疎通が不十分な夫婦で、夫が妻と外国人男性との交友に不倫の疑念を抱いて溝が大きく広がったこと、子供はいずれも成人していること、妻は学校に勤務して相当の収入を得ていること、夫は離婚に伴って妻に建物を分与し、住宅ローンも完済するまで払う意向を表明していることを理由に、夫の離婚請求を認めました(東京高裁平成14年6月26日判決)。

 これに対して、次のような場合には、離婚の請求が認められていません。

(ケース3)

 ①事案浮気をした夫(60歳)が、8年間、別居した妻(57歳)に離婚を請求(同居期間22年、子供は成人)

 ②結論離婚を認めなかった

 ③ポイント別居が8年、決定的な破綻の責任は夫にある

 ④判例:最高裁判所は、別居期間は8年であり、双方の年齢や同居期間を考慮すると、別居期間が相当の長期間に及んでいるとはいえないとして、夫の離婚請求を認めませんでした(最高裁判所平成元年3月28日判決)。

 別居期間は8年で、ケース1と同じですが、原審の東京高裁の判決は、離婚を認めなかった理由として、婚姻の破綻を決定的にした責任は夫にあることが挙げています。

(ケース4)

 ①事案浮気をした夫が、5年間、別居した妻に離婚を請求(同居期間27年、子供は成人)

 ②結論離婚を認めなかった

 ③ポイント別居が5年、妻の経済的基盤が安定していない

 ④判例:裁判所は、別居生活は合意によるものでない上、別居期間は必ずしも相当の長期間にわたっているとはいえず、今後の妻の経済的基盤も安定しているものとは見られず、信義誠実の原則に反するとして、夫の離婚請求を認めませんでした(東京高裁昭和62年9月24日判決)。

 このように、別居期間が6~8年で離婚が認められている場合もあれば、8年で離婚が認められない場合もあって一概にはいえませんが、少なくとも別居期間として6~8年くらいは必要ということになります。

 ただ、そもそも、有責配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、他の要件とも関わりますし、離婚が認められた判例は、未成熟子がいない場合で、有責配偶者が生活費の負担や財産分与の提案をしたり、婚姻関係の破綻についての有責性が低い場合なので、別居期間が6~8年経っているからといって、離婚が認められることにはならないことに注意が必要です。

  

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、別居期間がまだ3年であることを考えると、現時点で離婚が認められることはなかなか難しいといえます。

 しかも、高校生と中学生の子供がいるとなると、なおさら離婚が認められる可能性は低くなります。

  ただ、将来的に、離婚が認められるかどうか微妙な別居期間になったときには、生活費の負担等、それまでの対応が離婚の判断に影響してくるので、その点については誠意ある対応をしておくとよいでしょう。

 

5.今回のポイント

 浮気をした配偶者からの離婚請求が認められるためには、①夫婦の別居が夫婦の年齢と同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、②夫婦の間位に未成熟の子がいないこと、③相手の配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないことが必要で、別居期間は要件の1つにすぎません。

 別居期間は、少なくとも6~8年くらいは必要ですが、別居期間が6~8年経っているからといって、離婚が認められるとは限りません。

 離婚を認められやすくするためには、生活費の負担や財産分与で相手に有利な提案をするなど、誠意ある対応をする必要があります。

  

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

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7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.05.25更新

今回は、浮気(不倫)をした夫(有責配偶者)から離婚を求められている奥様から、浮気した夫からの離婚請求が認められるかどうかのご相談です。

結論:浮気をした夫からの離婚請求が認められることもあります。

詳しくは下記のブログをお読みください。

浮気をした夫から離婚を請求されてお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。

 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

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1.ご相談者 

 30代の女性(会社員) 

 ①夫は30代(会社員)

 ②婚姻期間は8年

 ③幼稚園の子供が1人

 

2.ご相談の内容

 1年くらい前に夫が浮気(不倫)をしていることが分かりました。私が夫を責めると、夫は開き直って家を出て行き、現在も浮気(不倫)の女性と一緒に暮らしています。

 ところが、最近になって、突然、夫から「離婚してほしい」と言われました。

 私が「離婚するつもりはない」と言うと、夫は「離婚しないなら裁判をする」と言ってきました。

 私には、まだ小さい子供もいますし、夫が浮気(不倫)をしたのに、なぜ私が夫に言われるまま離婚しなければならないのか全く理解できません。

 浮気(不倫)をした夫からの離婚の請求は認められるのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 離婚の原因を作った有責配偶者からの離婚請求であっても、一定の要件を充たす場合には離婚の請求が認められます。 

 

(1)浮気(不倫)をした夫(有責配偶者)からの離婚請求は認められるの?

 浮気(不倫)など離婚の原因を作った配偶者のことを「有責配偶者」(ゆうせきはいぐうしゃ)といいます。 

 かつて、有責配偶者からの離婚請求は、正義・公平や社会倫理に照らして許されるものではありませんし、離婚について責任のない配偶者を保護する観点から認められていませんでした。

 ところが、昭和62年に、36年間浮気相手と同居し、浮気相手の子供2人を認知している夫が妻に離婚を請求した事案で、最高裁判所は、夫婦の共同生活を営む意思を確定的に喪失してその実体を欠き、回復の見込みが全くない場合には、戸籍上だけの婚姻を存続させることは不自然であるから、正義・公平の観念、社会的倫理観(信義誠実の原則)に照らして容認されるような場合には、有責配偶者からの離婚請求も認められるとしました(最高裁昭和62年9月2日判決)。

 そのため、以後、有責配偶者からの離婚請求であっても離婚が認められるようになりました。

  

(2)どんな場合に離婚請求が認められるの?

 有責配偶者からの離婚が認められると言っても、あくまで信義誠実の原則に照らして容認される場合でなければいけません。

 具体的には、①夫婦の別居が夫婦の年齢と同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、②夫婦の間に未成熟の子がいないこと、③相手の配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと、が必要とされています(最高裁昭和62年9月2日判決)。

 

(3)別居期間ってどれくらいなの?

 ①の別居期間ですが、同居期間と比較してどれくらいの期間であれば長期間といえるのかは一概にいえません。

 昭和62年の最高裁は、36年の別居期間で離婚を認めましたが、その後は、30年(最高裁昭和62年11月24日判決)、22年(最高裁昭和63年2月12日判決)、16年(最高裁昭和63年4月7日判決)とだんだん短くなり、8年(最高裁平成2年11月8日判決)、さらには6年(東京高裁平成14年6月26日判決)で離婚が認められる場合もあります(詳しくは、こちら)。

 

(4)未成熟の子って20歳までなの?

 ②の未成熟の子については、必ずしも20歳を基準にして画一的に決めるわけではありません。

(ケース1)

 ①事案浮気をした夫が19歳の子供がいる妻に離婚を請求

 ②結論離婚を認めなかった

 ③ポイント20歳に近く、独立して生活している

 ④判例:裁判所は、子供は未成年者とはいえ、既に19歳の半ばを超え、大学生となり寮に入って独立して生活しているとして、未成熟の子とは認めませんでした(大阪高裁昭和62年11月26日判決)。ただし、結論としては、離婚の請求は認められていません。

 逆に、20歳を超えていても、未成熟の子にあたる場合もあります。

(ケース2)

 ①事案浮気をした夫が障害者の成年の子供がいる妻に離婚を請求

 ②結論離婚を認めなかった

 ③ポイント子供が障害を持ち介護が必要

 ④判例:裁判所は、子供は既に成年に達し、大学を卒業しているが、肢体麻痺の障害により両手両足が不自由で、日常生活全般にわたり介護が必要な状況にあるから、実質的には未成熟の子と同視できるとし、結論として夫の離婚の請求を認めませんでした(東京高裁平成19年2月27日判決)。

 また、未成熟の子がいても、離婚が認められる場合もあります。

(ケース3)

 ①事案浮気をした夫が高校2年生の子供がいる妻に離婚を請求

 ②結論離婚を認めた

 ③ポイント夫がこれまで生活費を渡し、今後も継続が期待できる

 ④判例:裁判所は、4人の子供のうち3人は成人して独立し、1人は高校2年生で未成熟の子ではあるが、同人は3歳の幼少から一貫して妻に育てられ、まもなく高校を卒業する年齢に達し、他方、これまで夫は毎月15万円を送金し、今後も離婚に伴う経済的給付の実現を期待でき、未成熟の子の存在が離婚の請求の妨げにはならないとして、夫の離婚の請求を認めました(最高裁平成6年2月8日判決)。

  

(5)精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態ってどんな場合?

 ③の離婚によって精神的・社会的・経済的に過酷な状態おかれないことについては、精神的・社会的に過酷な状態が問題となることはほとんどなく、経済的に過酷な状態におかれるかどうかが問題となります。

(ケース1)

 ①事案浮気をした夫が障害者の成年の子供がいる妻に離婚を請求((4)ケース2)

 ②結論離婚を認めなかった

 ③ポイント障害者の子供を置いて就業することは不可能

 ④判例:裁判所は、介助を必要とする身体障害者の子供を放置して母親が相当時間就業することは不可能であり、54歳の年齢では安定した職業を見つけることも困難であり、また、妻は、夫が賃借する建物に住んでいて、離婚した場合には建物からの退去を余儀なくされる可能性もあるから、離婚により経済的に困窮することは十分予想されるとして、夫の離婚の請求を認めませんでした(東京高裁平成19年2月27日判決)。

(ケース2)

 ①事案浮気をした夫が収入のある妻に離婚を請求

 ②結論離婚を認めた

 ③ポイント妻に相当な収入がある、住宅が確保される可能性が高い

 ④判例:裁判所は、別居期間が6年で、子供は成人して大学を卒業し、未成熟の子がいないことに加え、妻が英語の教師として勤務し相当の収入を得ていることや、夫が離婚に伴い妻が住んでいる建物を妻に与え、住宅ローンも完済するまで払い続けることを表明していることを理由として、夫の離婚の請求を認めました(東京高裁平成14年6月26日判決)。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、まだ別居してから1年くらいしか経っていませんし、お子さんも小さいので、離婚するとなると経済的にもかなり苦しくなります。

 したがって、離婚が認められる可能性は低いと思われます。

 離婚したくないのであれば、夫の要求を拒否していればよいでしょう。

 なお、別居しているとのことですので、婚姻費用の請求は忘れずにしましょう。

 

5.ご相談後の対応

(1)夫からの離婚調停の申立て

 アドバイスに従って、ご相談者が夫に離婚を拒否したところ、夫は、離婚の調停を申し立ててきました。
 夫にも弁護士が代理人として就きました。

 調停では、こちらから、調停員に、夫が不倫していたことや別居期間が短いこと、小さい子供がいること、奥様が専業主婦で経済力がないことなどを説明しました。

 夫は、不倫を認めました。

 代理人が就いていたので、離婚が難しいと考えていたのか、もっぱら離婚するための金銭的な条件について話し合いをしました。

 夫からは最初に500万円の提案がありましたが、こちらからは今後の生活費と慰謝料を含めて2000万円を要求しました。

   奥様としては、金銭的な条件もさることながら、やはり心情的に許せず、子供もまだ小さくて将来の生活に不安がありました。そのため、最終的には離婚には応じず、調停は不成立になりました。

 その後、夫から離婚の訴訟は提起されていません。

 

(2)今後の展開

 夫は、最終的には離婚訴訟をしてきませんでしたが、いずれ離婚訴訟をしてくる可能性は高いと言えます。そのときには、また対応する必要があります。

 いつの時点で訴訟を提起してくるか分かりませんが、今回とは事情が違うので、そのときの状況に応じて離婚請求を認めるかどうかが判断されます。

 

6.今回のポイント

 有責配偶者からの離婚請求も、一定の要件を充たす場合には認められます。

 有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、①夫婦の別居が夫婦の年齢と同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、②夫婦の間位に未成熟の子がいないこと、③相手の配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと、が必要です。

 別居期間はだんだん短くなり、8年、さらには6年で離婚が認められる場合もあります。

 未成熟の子については、必ずしも20歳を基準にして画一的に決めるわけではなく、20歳を超えていても、未成熟の子にあたる場合もあります。

 未成熟の子がいるからといって、直ちに離婚請求が認められないというわけではありません。

 有責配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、ケースバイケースなので、それぞれの事情を具体的に考慮して総合的に判断する必要があります。

 

7.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

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8.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.05.24更新

今回は、夫に浮気(不倫)された奥様から、浮気(不倫)相手に対する慰謝料についてのご相談です。

結論:夫と離婚する場合、浮気(不倫)相手に100~300万円の慰謝料を請求できる可能性があります。離婚しない場合には、それよりも低くなります。

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浮気相手に対する慰謝料でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。

  ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。 



1.ご相談者

 30代の女性(主婦) 

 ①夫は40代(会社員)

 ②婚姻期間は9年

 ③小学生の子供が1人

 

2.ご相談の内容

 2~3か月前に私が子供を連れて実家に帰り、実家から自宅に戻ってくると、家の様子がおかしく、夫の様子もおかしかったので、興信所に素行調査をしてもらったら、夫が不倫をしていることが分かりました。

 まだ、子供も小さいので、夫と離婚するかどうかは迷っていますが、相手の女性には、きっちり慰謝料を払ってもらいたいと思います。

 浮気をした相手の女性に、いくら慰謝料を請求できるでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 夫と離婚する場合、浮気相手に請求する慰謝料の相場は100~300万円です

 離婚しない場合には、それよりも低くなります。

 

(1)どんな場合に浮気(不倫)相手に慰謝料を請求できるの?

 浮気は、性的関係を持つことによって相手方配偶者の夫婦としての権利を侵害するわけですから、当然違法となり、慰謝料を払わなければなりません(最高裁昭和53年3月30日判決)。

 浮気相手への慰謝料が認められるためには、①浮気の事実があること、②浮気相手が浮気であることを知っているか、知らないことに過失があること、③夫婦関係が破綻していないことが必要です。

 

(2)浮気はどうやって証明するの?

 浮気相手への慰謝料が認められるためには、①浮気の事実があることが必要です。

 浮気の事実は、写真・動画、メール・SNS、浮気を認めた録音、ラブホテルの領収書、調査会社による素行調査の報告書などによって立証します。

 浮気の事実が証明できないと、慰謝料は請求できません。

 (ケース)

 ①事案夫の社宅で一緒に鍋料理を食べていた女性に対して妻が浮気を理由に400万円の慰謝料を請求

 ②結論慰謝料を認めなかった

 ③ポイント一緒に女性と部屋にいただけでは浮気の立証にはならない

 ④判例:裁判所は、夫が妻の追及にあいまいな対応をしたのは、妻の執拗な追及に辟易し、反論しても無駄であるとの投げやりな気持ちから生返事を繰り返していただけであり、また、鍋料理を二人で食べていたことは、女性が妻から追い詰められた精神状態で夫と相談せざるを得ない状況で、仕事を抜け出せない夫が社宅で待ってもらっていたということが認められ、これだけでは浮気を推認させるに十分なものとはいえず、浮気の立証はないとして、慰謝料の請求を認めませんでした(東京地裁平成28年8月2日判決)。

 

(3)浮気相手が浮気と知らなかったと言ったらどうなるの?

 慰謝料が認められるためには、②浮気相手が浮気であること、つまり交際相手が結婚していることを認識しているか、認識していないことに過失があることが必要です。

 そのため、浮気相手からよく「結婚しているとは知らなかった」という反論がされます。

 ただ、結婚しているとは知らなかったと言っても、実際には知っていて慰謝料の支払を免れる方便として言われることも多いのです。このような場合には、当然慰謝料を請求することができます。

 また、結婚しているのを知らなくても、うすうす結婚しているのではないかと思っていたりすることも多いのです。このような場合、仮に結婚していると知らなかったとしても、結婚していると気付くことができたような場合には、知らなかったことについて過失があるので、慰謝料を請求することができます詳しくはこちら)。

 

(4)浮気相手が夫婦関係は破綻していたと言ったらどうなるの?

 最後に、慰謝料が認められるためには、③夫婦関係が破綻していないことが必要です。

 浮気をした当時、既に夫婦関係が破綻している場合には、配偶者には婚姻共同生活の平和の維持という法的な利益がなく、権利侵害が認められないので慰謝料は認められません(最高裁平成8年3月26日判決)。

 そのため、浮気相手は、「夫(妻)から夫婦関係が破綻していると聞いている」と言って、慰謝料の支払を拒否することがよくあります。

 ただ、夫婦関係が破綻していると聞いていたとしても、実際に夫婦関係が破綻しているかどうかが重要で、実際に夫婦関係が破綻していない場合には、浮気相手に慰謝料を請求することができます(詳しくはこちら)。 

 

(5)浮気(不倫)相手に請求する慰謝料の相場は?

 浮気の慰謝料は、浮気の期間や回数の他、夫婦の年齢、収入、婚姻期間、婚姻生活の状況、子供の有無、浮気によって婚姻生活が破綻したか否か等が考慮されます。

 このように、浮気の慰謝料はさまざまな事情が考慮されるので、その金額もケースバイケースですが、浮気によって離婚した場合には、一般的に慰謝料が高くなる傾向があり、慰謝料の相場としては100~300万円程度です。  

(ケース1) 

 ①事案結婚5年で、1歳の子供がいる妻が夫の浮気相手に1000万円の慰謝料を請求((3)のケース) 

 ②結論100万円 

 ③ポイント婚姻期間が比較的短い、虚偽の説明をした夫に責任がある、妻が夫に損害賠償をしている 

 ④判例:裁判所は、浮気相手は、妻とは離婚した旨の夫の発言を漫然と信用した点で落ち度があるが、その主要な責任は虚偽の説明をした夫にあり、過失の程度は重大とはいえないこと、妻が夫に損害賠償を請求していることを理由として、慰謝料を100万円としました(東京地裁平成28年5月9日判決)。

(ケース2)

 ①事案結婚20年で、2人の未成年の子供がいる妻が夫の浮気相手に500万円の慰謝料を請求

 ②結論200万円

 ③ポイント婚姻期間が長い、浮気相手との間に子供がいる

 ④判例:裁判所は、婚姻関係の破綻が夫と浮気相手の交際であること、既に離婚していること、浮気相手は浮気についての責任を全く自覚していないこと、夫と浮気相手の間に子供がいることなどを理由として、慰謝料を200万円としました(東京地裁平成19年12月27日判決)。

(ケース3)

 ①事案結婚20年で、2人の成年、1人の未成年の子供がいる妻が夫の浮気相手に500万円の慰謝料を請求

 ②結論300万円

 ③ポイント婚姻期間が長い、浮気の期間が長い、浮気相手との間に子供がいる

 ④判例:裁判所は、浮気相手は夫と連帯して責任を負うこと、一度交際を解消した後、再度交際を開始し、夫と浮気相手が同居して長期間(9年)経過していること、夫が浮気相手との間の子供を認知していること、妻から離婚訴訟が提起されていることなどを理由として、慰謝料を300万円としました(東京地裁平成28年4月6日判決)。

 以上は、離婚した場合の慰謝料です。

 

(6)夫と離婚しない場合の慰謝料はどうなるの?

 離婚せずに浮気相手に慰謝料を請求する場合は、離婚する場合と比べて一般的に低くなる傾向にあります。

 (ケース1)

  ①事案離婚していない妻が夫の浮気相手に500万円の慰謝料を請求

  ②結論50万円

  ③ポイント離婚していない、夫に資力がなく、浮気相手が夫に請求できない

  ④判例:裁判所は、妻は、夫婦関係が20年以上継続し、浮気によって婚姻関係、家庭生活の平穏が相当程度、乱されているが、現時点で離婚しておらず、夫の無資力により浮気相手から夫への請求ができない可能性があり、浮気を主導したのが夫であったことを理由に、慰謝料を50万円としました(東京地裁平成28年3月24日判決)。

(ケース2)

 ①事案結婚して19年の妻が夫の浮気相手に300万円の慰謝料を請求

 ②結論100万円

 ③ポイント離婚していない、夫に請求する可能性がある

 ④判例:裁判所は、交際期間が1年8カ月と比較的短期間であり、夫婦の婚姻関係は現在も円満に継続していること、夫は浮気相手に対して、再三婚姻関係が破綻していると虚偽の説明をして交際を求めていたことを理由として、慰謝料を100万円としました(東京地裁平成28年4月22日判決)。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、素行調査によって浮気が認められたということなので、浮気自体はあまり問題はなさそうですし、夫婦関係も破綻していないので、浮気相手の認識は問題にはなりますが、慰謝料自体は認められる可能性は高そうです。

 ご相談者は現在、離婚をするかどうか迷っているということですが、仮に離婚しないとすると、離婚した場合と比べて慰謝料は低くなりますので、注意が必要です。

 慰謝料はケースバイケースですが、離婚しない場合は、50~100万円、離婚する場合には100~300万円がおおよその目安になります。

 

5.今回のポイント

 浮気相手への慰謝料が認められるためには、①浮気の事実があること、②浮気相手が自分の交際相手が結婚していることを認識しているか、認識していないことに過失があること、③夫婦関係が破綻していないことが必要です。 

 浮気の慰謝料の金額は、浮気の期間や回数の他、夫婦の年齢、収入、婚姻期間、婚姻生活の状況、子供の有無、浮気によって婚姻生活が破綻したか否か等が考慮されます。

 離婚した場合の浮気相手に対する慰謝料の相場は100~300万円程度です。

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

 ブログを読んだけれど一人では解決できそうもない、ブログを読んで自分でやってみたけれど解決できなかったという方は、是非、当弁護士にご相談ください。

 当弁護士へのご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

 まずは、安心してお気軽にご相談ください。 

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7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.05.23更新

今回は、浮気(不倫)した夫と離婚を考えている奥様から、浮気をした夫に対する慰謝料の相場についてのご相談です。

結論:浮気が原因で離婚する場合、200~300万円の慰謝料を請求できる可能性があります。

詳しくは下記のブログをお読みください。

浮気をした夫に対する慰謝料でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。

  ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。

  

1.ご相談者 
 
 50代の女性(主婦) 

 ①夫は50代(公務員)

 ②婚姻期間は31年

 ③長男(成人)、長女(成人)


2.ご相談の内容
 
 半年くらい前から、朝帰りや外泊が多くなり、興信所を使って素行調査をしてもらったら、クラブのホステスと浮気していることが分かりました。夫は以前にもクラブのホステスと不倫していたことがあり、そのときは、子供が学生で、夫が浮気を認めて謝ったので、仕方なく離婚をするのを思いとどまりましたが、今回は我慢できません。

 浮気をした夫と離婚する場合、慰謝料の相場はいくらでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 浮気が原因で離婚する場合の慰謝料の相場は200~300万円くらいです

  

(1)慰謝料ってどうやって決めるの?

 浮気が原因で離婚する場合の慰謝料を決めるにあたって、特に明確な基準があるわけではありません。というのも、慰謝料は精神的苦痛を慰謝するために支払われ、精神的苦痛は人それぞれによって様々なので、明確な基準を作ることができないからです。

 慰謝料の金額を決めるにあたっては、浮気の期間や回数、夫婦の年齢、収入、婚姻期間、結婚生活の状況、子供の有無、浮気された方の落ち度等が考慮されます。

 これらの事情について言えば、例えば、浮気の期間が長く、回数が多い場合には、精神的苦痛も大きいので、慰謝料の金額が大きくなる可能性があります。また、婚姻期間が長く、夫婦の年齢が高いような場合にも、金額が高くなる可能性があります。子供がいる場合や浮気した方の収入が多い場合も同様です。

 逆に、浮気された方に落ち度がある場合には、慰謝料の金額が低くなる可能性があります。

 このように、不倫によって離婚する場合の慰謝料は、さまざまな事情が考慮されるので、その金額もケースバイケースです。

 

(2)慰謝料の相場っていくらくらい?

 浮気が原因で離婚する場合の慰謝料には、①浮気自体に対する慰謝料②浮気によって離婚したことに対する慰謝料があります。

 浮気が原因で離婚した場合の慰謝料の相場は200~300万円くらいです。

(ケース1)

 ①事案結婚生活が30年以上の妻(60代)が、夫(60代)の複数の女性との浮気と言葉の暴力を理由に離婚と2000万円の慰謝料を請求

 ②結論200万円の慰謝料を認めた

 ③ポイント離婚原因は夫の浮気・暴言、妻が経済的に不自由なく生活してきた

 ④判例:裁判所は、うち1人については、夜間に女性宅を訪問し、辺りを窺う状況からすると男女関係にあったことが強く推認されるとし、もう1人については、妻が第三者から聞いた不倫話にすぎず、不倫関係は認められないとした上で、夫が妻の反発に対して事々に怒声を浴びせて妻に婚姻生活を続ける気持ちを失わせる一方、夫が不倫問題についてその疑いを払拭する方策を取らなかったこと、夫が報酬等を全て妻に渡し、妻も株式投資をするなど経済的に不自由なく生活してきたこと、夫が既に定年していつまで勤務し、収入を得られるか不明であることなどを理由に、200万円の慰謝料を認めました(東京地裁平成16年9月28日判決)。 

(ケース2)

 ①事案結婚生活が37年の妻が、夫の借金や浮気等を理由に離婚と1500万円の慰謝料を請求

 ②結論300万円の慰謝料を認めた

 ③ポイント離婚原因は夫の浮気・借金、妻が夫婦の生活費と子供の養育費を負担していた

 ④判例:裁判所は、離婚原因は、夫が妻に生活費として10万円しか渡さなかったこと、夫が会社経営に失敗して多額の債務を負担し、妻が夫婦の生活費と子供の養育費を負担していたこと、別居の約1年前から浮気していたことから、婚姻関係が破綻した主たる原因は夫にあるとした上で、婚姻期間が37年に及ぶことを踏まえて、300万円の慰謝料を認めました(東京地裁平成17年6月24日判決)。

 これ以上の慰謝料が認められた事例もあります。

(ケース3)

 ①事案結婚生活が20年以上の妻(40代)が、夫(40代)の多数の女性との浮気と暴力を理由に、離婚と3000万円の慰謝料を請求

 ②結論500万円の慰謝料を認めた

 ③ポイント夫の浮気について脅迫文が送られてきた、妻が専業主婦、夫が会社を経営し、資産がある

 ④判例:裁判所は、1人についてのみ浮気を認め、暴力も離婚原因を構成するまでとはいえないとした上で、妻は専業主婦であること、脅迫文が送付されたこと、夫は会社を経営し、実父の会社の取締役でもあることなどを理由に、500万円の慰謝料を認めました(東京地裁平成16年2月16日判決)。

  逆に、低い慰謝料しか認められなかった事例もあります。 

(ケース4)

 ①事案結婚生活が25年の妻(50代)が、夫(60代)の浮気を理由に、離婚と1000万円の慰謝料を請求

 ②結論100万円の慰謝料を認めた

 ③ポイント家庭内別居が長かった、家庭内別居について夫に大きな責任がなかった

 ④判例:裁判所は、妻は、夫の不貞により最終的に離婚を決意したのであるが、夫婦は結婚当初から折り合いの悪い状態が続き、家庭内別居につき特に夫により大きな責任があったというわけではないことなどを理由として、100万円の慰謝料を認めました(東京地裁平成15年3月24日判決)。 

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、2回目の不倫は素行調査の報告書があるので問題ありませんが、1回目は夫が不倫を認めているだけなので、それを裏付ける資料があればよいでしょう。

 慰謝料の金額については、ケースバイケースなので、確定はできませんが、婚姻期間はかなり長く、年齢も高い方ですし、不倫が2回目ということになれば、精神的苦痛は大きいので、200~300万円の相場程度の慰謝料は認められる可能性があります。

 

5.今回のポイント

  不倫が原因で離婚する場合の慰謝料には、①不倫自体に対する慰謝料と②不倫によって離婚したことに対する慰謝料があります。

 不倫が原因で離婚した場合の慰謝料の相場は200~300万円くらいと言われています。 

 慰謝料の金額を決めるにあたっては、不倫の期間や回数、夫婦の年齢、収入、婚姻期間、結婚生活の状況、子供の有無、不倫(浮気)された方の落ち度等が考慮されます。 

 不倫の期間が長く、回数が多い場合や、婚姻期間が長く、夫婦の年齢が高いような場合、子供がいる場合や不倫した方の収入が多い場合には、慰謝料の金額が高くなる可能性があります。

 逆に、不倫された方に落ち度がある場合には、慰謝料の金額が低くなる可能性があります。

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

 ブログを読んだけれど一人では解決できそうもない、ブログを読んで自分でやってみたけれど解決できなかったという方は、是非、当弁護士にご相談ください。

 当弁護士へのご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

 まずは、安心してお気軽にご相談ください。

>>永田町・赤坂見附の弁護士三ツ村の離婚問題に関する情報はこちら

 

7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.05.21更新

今回は、不倫(浮気)をした夫と離婚を考えている奥様から、離婚するための証拠についてのご相談です。

結論:性的関係が認められる写真・動画、メール・LINE、不倫を認めた録音、ラブホテルの領収書、調査会社による素行調査の報告書などの証拠が必要です。

詳しくは下記のブログをお読みください。

不倫した夫との離婚でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。

 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。 



1.ご相談者
 

 40代の女性(主婦)

 ①夫は40代(会社員)

 ②婚姻期間17年

 ③高校生の長男、中学生の長女

 

2.ご相談の内容

 最近、夫の帰りが遅く、出張と言って頻繁に家を空けるようになりました。

 夫の行動がおかしいので、夫の携帯電話を見たら、会社の女性の電話番号と、その女性とのLINEのやりとりを発見しました。
 
 不倫している夫と離婚したいのですが、LINEのやりとりで離婚できるでしょうか?

 他にどんな証拠が必要でしょうか?

 

3.ご相談への回答

 LINEのやりとりが不倫の証拠となるためには、その内容が性的関係があることをうかがわせるようなものである必要があります。

 不倫の証拠としては、写真・動画、メール・LINE、不倫を認めた録音、ラブホテルの領収書、調査会社による素行調査の報告書などがよく用いられます。

   

(1)不倫で離婚するためにはどんな証拠は必要なの?

 夫(妻)に不倫があれば、離婚することはできます。

 ただ、裁判では、不倫の事実が立証されない限り、不倫があったとは認められないので、不倫を裏付ける証拠が必要です。

 相手が不倫を否定しているのであれば、それを覆すために証拠が必要ですし、相手が不倫を認めている場合であっても、後で否定されたときのことを考えると、やはり証拠があった方がよいでしょう。

 不倫の証拠としては、写真・動画、メール・LINE、不倫を認めた録音、ラブホテルの領収書、調査会社による素行調査の報告書などがよく用いられます。

 

(2)写真・動画やメール・LINEがあればいいの?

 ただ、写真や動画は、その内容が性的関係があることをうかがわせるようなものでなければいけません。単に不倫相手と2人で写っている写真や動画があっても、それだけでは不倫の証拠にはなりません。

 このことは、メールやLINEでも同じです。「君が一番大切だ」とか「昨日は楽しい夜だった。早く会いたい。」などのメールやLINEのやり取りがあっても、それだけでは不倫の証拠にはなりません。

 ちなみに、調査会社の素行調査は、結構なお金がかかりますし、素行調査をしたからといって必ず成功するとは限らないので、その点に注意が必要です。

 

(3)どんな場合に不倫が認められるの?

 例えば、不倫が認められた場合として、次のような事例があります。

(ケース1)

 ①事案夫が妻と不倫相手に連帯して1000万円の慰謝料を請求

 ②結論不倫を認めて、連帯して190万円の慰謝料を命じた

 ③ポイント2人の旅行の写真があった、性的関係が伺われるメールがあった、不倫を認めた録音記録があった

 ④判例:裁判所は、①写真は講義期間の終了後に撮影されたもので、2人で私的な旅行をしていたと推認されること、②メールには「君のうっとりした唇と体を感じています。」「君の甘えた微笑と、私の脚にあたった太腿の感触がつきまとっている。きみの体のすべてを包もう。」などとあり、性的な関係の存在を推測させること、③妻が2人の交際を認めた会話の録音記録には、不当な誘導や執拗な追及は見られず、妻の受け答えも機械的で、曖昧であったとは認められず真意によるとして、妻の不倫を認めた上で、2人に対して連帯して190万円の慰謝料を命じました(東京地裁平成28年8月10日判決)。

 ここでは、メール、写真、会話の録音が証拠と認められています。

(ケース2)

 ①事案夫が妻の不倫相手に300万円の慰謝料を請求

 ②結論不倫を認めて、150万円の慰謝料を命じた

 ③ポイントラブホテルに入った報告書があった

 ④判例:裁判所は、素行調査の報告書によれば、2人が夜間の公園で抱き合い、キスをしたり、ラブホテルに3時間以上滞在し、性交渉があったと推認できるとして、不倫を認めた上で、150万円の慰謝料を命じました(東京地裁平成28年2月24日判決)。

 ここでは、素行調査の報告書が証拠と認められています。

 

(4)不倫が認められないのはどんな場合?

 逆に、不倫が認められない場合もあります。

(ケース1)

 ①事案夫が妻の不倫相手に500万円の慰謝料を請求

 ②結論不倫を認めなかった

 ③ポイントキスをしている写真だった、電話・メールの内容が明らかでなかった

 ④判例:裁判所は、妻が男性の自宅の鍵を持って出入りして家事を手伝っていたのは男性の勤務時間中であったこと、男性の携帯電話に妻とキスしている写真が保存されているが、ゲームの一場面とする男性の弁解を覆す証拠がないこと、男性の電話の通信記録から妻と1日2~3回電話やメールがされていたことや、妻が離婚後、男性の自宅に同居していることに不自然な点はあるが、不倫の事実を認定するには証拠が足りないとして、不倫を認めませんでした(東京地裁平成17年3月25日判決)。

 ここでは、写真電話の通信記録が証拠として提出されていますが、不倫は認められませんでした。

(ケース2)

 ①事案夫が妻の不倫相手に500万円の慰謝料を請求

 ②結論不倫を認めなかった

 ③ポイントメールにはキスのことしか書かれていなかった、性的関係を認めて謝罪しているわけではなかった

 ④判例:裁判所は、妻の携帯電話には男性から「今日俺機嫌悪くてごめん。」「君のチューをもらって元気になった。」とメールがあり、妻も夫に「今彼と付き合っている。もうあなたに対する気持ちは冷めているので分かれて欲しい。」と言い、男性も夫に謝り、妻も男性も交際していた事実は認めるが、性的関係を持ったことについては否定しており、これを裏付ける証拠もないとして、不倫は認められませんでした(東京地裁平成15年9月10日判決)。

 ここでは、メールが証拠として提出されていますが、 不倫は認められませんでした。

 このように、写真やメールがあっても、それだけでは不倫の証拠にはなりません。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、女性とのメールを発見したということですが、それが不倫(浮気)の証拠となるかどうかはメールの内容によります。メールの内容が性的関係をうかがわせるようなものでないと、不倫(浮気)の証拠にはなりません。

 メールだけでは判断できないようであれば、夫が頻繁に家を空けるということですから、素行調査をしてもいいかもしれません。

 ただし、素行調査には結構なお金がかかりますし、素行調査をしたからといって必ず上手く行くとは限らないので、その点も十分検討してから依頼するのがよいでしょう。

 

5.今回のポイント

 不倫(浮気)の証拠としては、写真・動画、メール・LINE、不倫を認めた録音、ラブホテルの領収書、調査会社による素行調査の報告書などがよく用いられます。

  写真や動画、メール・SNSは、その内容が性的関係があることをうかがわせるようなものであることが必要です。

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

 ブログを読んだけれど一人では解決できそうもない、ブログを読んで自分でやってみたけれど解決できなかったという方は、是非、当弁護士にご相談ください。

 当弁護士へのご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

 まずは、安心してお気軽にご相談ください。 

>>永田町・赤坂見附の弁護士三ツ村の離婚問題に関する情報はこちら

 

7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.04.28更新

今回は、妻から離婚すると言われて子供に出て行かれたご主人から、離婚裁判で別居中の子供の連れ戻しについてのご相談です。 

結論:子供を実力で連れ戻すと犯罪にとして処罰されたり、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があるので止めましょう。 

詳しくは下記のブログをお読みください。

子供の連れ戻しでお悩みの方は、無料相談をご利用ください。

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。

 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。 

 

1.ご相談者 
 
 30代の男性(会社員) 

 ①妻は20代(主婦)

 ②婚姻期間は5年

 ③幼稚園の子供が1人

 

2.ご相談の内容

 妻が突然離婚すると言って、実家に子供を連れて出て行き、現在、離婚裁判中です。子供に会いたいのですが、妻が子供に会わせてくれません。

 供を連れ戻しても犯罪になったり、不利に扱われたりしないでしょうか。 

 

3.ご相談への回答

 別居中に夫婦の一方が監護している子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性があります。

 また、仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があります。

 

(1)実力で子供を連れ戻すと犯罪になるの?

 夫婦は、離婚するまでは両方とも親権者として子供を監護養育する権利(監護権)を持っていますが、親権者であっても、別居中に夫婦の一方が監護している子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性があります。 

(ケース1)

 ①事案離婚の係争中の夫が、別居中の妻が養育していた2歳の長男を、保育園から帰る途中に車で連れ去った

 ②結論未成年者略取罪を認めた

 ③ポイント妻の監護養育に問題がなかった、連れ去りが粗暴だった、長男が2歳の幼児だった

 ④判例:裁判所は、妻とその両親に監護養育されて平穏に生活していた長男を連れ去った行為は未成年者略取罪にあたり、長男の監護養育上そのような行動に出る必要がある特段の事情もなく、行為態様が粗暴で強引であること、長男が自分の生活環境についての判断選択の能力が備わっていない2歳の幼児であったこと、略奪後の監護養育について確たる見通しもないことから、家族間の行為として社会通念上許容できないとして、未成年者略取罪を認め、懲役1年、執行猶予4年の刑を言い渡しました(最高裁平成17年12月6日決定)。

(ケース2)

 ①事案離婚の係争中、離婚を拒否しているオランダ人の夫が、別居中の妻が養育していた2歳4か月の長女を、オランダに連れて行く目的で、入院中の病院から車で連れ去った

 ②結論国外移送略取罪を認めた

 ③ポイント長女が平穏に生活していた、実力で連れ去った、長女が2歳4カ月

 ④判例:裁判所は、妻の下で平穏に暮らしていた長女を 、外国に連れ去る目的で、入院中の病院から連れ出して自分の支配下に置いたのであるから国外移送略奪罪にあたり、病院のベッドから両足を引っ張って逆さに吊り上げ、脇に抱えて連れ去り、自動車に乗せて発進した態様は悪質で、親権者の1人であるとしても違法性は阻却されないとして、国外移送略取罪を認め、妻の実家の玄関のガラスを割った器物損壊罪も含めて、懲役2年、執行猶予3年の刑を言い渡しました(最高裁平成15年3月18日決定)。

 このように、子供を無理やり連れ戻すと、犯罪として処罰される可能性があるので、実力で子供を連れ戻すことはしない方がよいでしょう。

 

(2)実力で子供を連れ戻すと離婚のとき不利になるの?

 仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があります。

(ケース)

 ①事案夫が保育所から子供を連れ去った妻に対して子供の仮の引渡(仮処分)を請求

 ②結論子供の仮の引渡を認めた

 ③ポイント夫の監護に問題がなかった

 ④判例:裁判所は、別居中の夫婦の一方の下で事実上監護されていた未成年者を他方が一方的に連れ去った場合に、監護していた親権者が速やかに未成年者の仮の引渡を求める申し立てをしたときは、従前の監護に戻すと未成年者の健康が著しく損なわれたり、必要な養育監護がなされなかったりするなど、未成年者の福祉に反することが見込まれる特段の事情がない限り、子供の引渡を認めるのが相当であるとした上で、本件ではそのような特段の事情はないとして、子供の仮の引渡を認めました(東京高裁平成20年12月18日決定)。

 このように、実力で子供を連れ去ることは違法と評価され、子供の引渡等で不利な事情として扱われるので、この点からも実力で子供を連れ戻すことはしない方がよいでしょう。 

 

(3)子供を連れ戻すにはどうしたらいいの?

 子供を連れ戻すためには、子供の引渡を求める裁判をするほかありません。

 子供の引渡を求める方法としては、①人身保護法に基づいて子供の引渡請求の訴訟を提起する方法と、②監護権者の指定と子供の引渡の審判の申立、審判前の保全処分の申立をする方法があります。

 以前は、①の方法が採られていましたが、最高裁判例によって、人身保護請求による子供の引渡の要件が厳格に解され、子供の引渡が認められる可能性が低くなってしまいました。

(ケース1)

 ①事案3歳と4歳の子供(いずれも女児)を連れて墓参に行き、そのまま返さなかった夫に対して、妻が人身保護法に基づいて子供の引渡を請求

 ②結論子供の引渡を認めなかった

 ③ポイント経済面で妻が劣っていた、夫の監護に特に問題がなかった

 ④判例:最高裁は、夫による幼児の監護は、親権に基づくものとして特段の事情がない限り適法であるから、引渡請求が認められるためには、夫の監護が子供の幸福に反することが明白であることを要するとし、本件では、夫も妻も、子供に対する愛情、監護意欲、居住環境の点で差がなく、経済的な面では妻は夫に比べて劣るのであり、夫が子供を監護することがその幸福に反することが明白とはいえないとして、妻の引渡請求を認めませんでした(最高裁平成5年10月19日判決)。

(ケース2)

 ①事案小学校付近で車に乗せて子供(女児)を連れて行った夫に対して、妻が人身保護法に基づいて子供の引渡を請求

 ②結論子供の引渡を認めなかった

 ③ポイント気管支喘息の悪化のおそれがあるだけで著しく健康が損なわれていなかった

 ④判例:最高裁は、人身保護法による引渡請求が認められるのは、夫が幼児の引渡命令の仮処分又は審判等に従わない場合や、妻の監護の下では安定した生活を送ることができるのに、夫の監護の下では著しく健康が損なわれたり、満足な義務教育を受けることができない等の例外的な場合であるとし、本件では、気管支喘息を悪化させるおそれがあるというだけで、具体的に健康が害されるとはいえず、子供は学童として支障のない生活を送っているのであるから、夫の監護がこの幸福に反することが明白とはいえないとして、妻の引渡請求を認めませんでした(最高裁平成6年4月26日判決)。  

 そのため、現在では、一般的に②の方法が採られています(詳しくはこちら)。 

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、子供が既に妻の下で生活しているので、子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性がありますし、仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があるので、実力で子供を連れ戻すことはしない方がよいでしょう。

 ご相談者が子供の引渡を求める方法としては、監護権者の指定と子供の引渡の審判の申立、審判前の保全処分の申立をするのがよいでしょう。

 子供の引渡が認められるかどうかは、 父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断するので、ご相談者の場合に直ちに子供の引渡が認められるかどうかは分かりませんが、上の判例で述べたような事情があれば、子供の引渡が認められる可能性はあると言えます。

 

5.今回のポイント

 別居中に夫婦の一方が監護している子供を実力で連れ戻すと未成年者略取罪等の犯罪に当たる可能性があります。

 仮に犯罪として処罰されない場合でも、実力で子供を連れ去ると、監護権者の指定や子供の引渡等で不利に扱われる場合があります。 

 子供の引渡を求める方法としては、一般的に、監護権者の指定と子供の引渡の審判の申立、審判前の保全処分の申立をする方法が採られています。

 子供を引き渡すかどうかは、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。 

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

 ブログを読んだけれど一人では解決できそうもない、ブログを読んで自分でやってみたけれど解決できなかったという方は、是非、当弁護士にご相談ください。

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7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.04.25更新

今回は、離婚の話し合いをしているご主人から、親権者になれない場合の監護権についてのご相談です。

結論:監護・養育は問題ないが、財産管理に問題があるような場合や、父母双方が関与することが子供の健全な成長にとってよい場合、父母とも監護が不可能又は不適当な場合に第三者に子供を監護させる場合等には、監護者となる可能性があります。

詳しくは下記のブログをお読みください。

親権・監護権でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。 

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。 

 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。

 

1.ご相談者 
 
 40代の男性(会社員) 

 ①妻は40代(主婦)

 ②婚姻期間は12年

 ③小学生が1人、幼稚園児が1人


2.ご相談の内容

 現在、妻と離婚の話をしていますが、親権をどちらにするのかで揉めています。

 親権の他に監護権があると聞いたのですが、私が親権者になれない場合に、監護権を持つことはできるでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 親権者と監護権者は一致するのが原則で、親権者と監護権者を分けるのは例外です。

 親権者にはなれないが、監護権者となるためには、親権者と監護権者を分ける必要があり、しかも、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、子供の福祉の観点から監護権者として相応しいと判断された場合に監護権者となることができます。 

 

(1)監護権って親権とどう違うの?

 監護権とは、子供を監督、保護し、養育すること(身上監護)をいいます(民法766条)。

 離婚する場合には、父母のどちらか一方を子供の親権者と決める必要がありますが(民法819条)、親権は子供の身上の監護と財産の管理を内容とします。

 したがって、親権と監護権とは、身上監護の点で重なることになり、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありません。

 

(2)どんな場合に監護権が認められるの?

 このように、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありませんし、身上監護権と財産管理権とをそれぞれ別の親に帰属させると、それぞれ対応が異なって、かえって不都合が生じるので、親権者と監護権者は一致するのが原則です。

 ただ、監護・養育は問題ないが、財産管理に問題があるような場合や、父母双方が関与することが子供の健全な成長にとってよい場合父母とも監護が不可能又は不適当な場合に第三者に子供を監護させる場合等には親権者とは別に監護権者を決める必要があります。

 また、離婚する前に別居していて子供を奪い合っているような場合にも、父母のどちらか一方を監護権者と決めることもあります。

 例えば、次のような場合があります。

(ケース1)

 ①事案妻が子供に夫を拒絶するよう仕向け、面会交流を妨害していることを理由に、夫が妻に対して親権者の変更を請求

 ②結論夫が親権者、妻が監護権者になった

 ③ポイント面会交流の確保のために夫を親権者に変更する必要があった、妻に監護を継続させた方が子供の負担が少なかった

 ④判例:裁判所は、夫が面会交流の確保を条件に妻を親権者とすることに同意したのに、妻の言動により子供が面会交流を拒否するようになったこと、履行勧告や第三者機関の利用によっても面会交流が実現されず、親権者変更以外に面会交流実現の手段がないこと、従来、交代で監護して最低限の協力関係があり、夫の監護は妻の監護と比べて甲乙つけ難く、親権者として監護養育の十分な実績と能力があること、妻による監護を継続させた方が子供の負担が少ないことを理由に、親権者を妻から夫に変更し、監護権者は妻としました(福岡家裁平成26年12月4日審判)。

(ケース2)

 ①事案親権者を夫とする離婚届を提出した夫に対して、妻が親権の変更を請求

 ②結論夫が親権者、妻が監護権者になった

 ③ポイントの監護能力に問題がなかった、妻の金銭管理能力に問題があった

 ④判例:裁判所は、母親としての監護能力に問題はなく、2人の子供は母と暮らすことを希望し、もう1人の子供は女児の幼児で母親の下で養育されるのがより適切であるから、子供の監護は母親に任せるのが子の福祉に適うとする一方、母親は、消費者金融から多額の借入をし、高額商品を換金し、その使途も不明であり、金銭管理能力に大きな不安があることを理由に、親権者を父親とし、監護権者を母親としました(横浜家裁平成21年1月6日審判)。

(ケース3)

 ①事案妻の母(祖母)が夫婦の子供(孫)の監護権者の指定を請求

 ②結論祖母が監護権者になった

 ③ポイント祖母が孫を適切に監護していた、父母に監護者の適格性や監護の意欲がなかった

 ④判例:裁判所は、祖母は、既に孫と同居して適切に監護し、孫も祖母に自然な愛情を感じているから、祖母が孫の監護を継続することが子の福祉に合致する一方、孫は、父母によい感情を有しておらず、父は孫の姉を虐待して死亡させ、母も孫を祖母に預けると述べて、責任ある養育態度や監護に対する意欲を見せていないことを理由に、監護権者を祖母としました(金沢家裁七尾支部平成17年3月11日審判)。

 

(3)どうやって監護権者を決めるの?

 離婚するにあたって、特に監護権者を決める必要がある場合、まずは協議によって決めますが、協議でまとまらなかった場合には、家庭裁判所で決めることになります。

 裁判所は、監護権者を決めるにあたって、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。

 具体的には、父母の事情として、父母の監護の能力や意欲、経済状況、家庭環境、これまでの監護の状況等が考慮され、子供の事情として、子供の年齢、性別、兄弟姉妹の有無、発育状況、子供の意向、環境への適応状況等が考慮されます。

 このような事情をもとに、監護の継続性を尊重すべきとする原則や、乳幼児については母親を優先させるべきとする原則子供の意思を尊重すべきとする原則兄弟姉妹は分離すべきでないとする原則面会交流に寛容な親を優先すべきとする原則等を基準として、最終的に監護権者を決定します。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、親権で揉めているということなので、まだ、どちらを親権者とするのか決まっていない状況だと思いますが、親権者が決まっておらず、子供を奪い合っているような場合には、裁判で監護者をどちらにするかを決めることになり、その場合に父親が監護権者となることはありえます。

 ただ、ご相談者の質問が「親権が取れないので、何とか監護権を取りたい」ということだとすると、親権者と監護権者は一致するのが原則なので、親権者と監護権者を分ける必要があり、しかも、子供にとってご相談者が監護権者になるのがふさわしいという事情がないと監護権者になるのは難しいでしょう。

 その場合は、面会交流の交渉が重要になります。

 

5.今回のポイント

 親権と監護権とは、身上監護の点で重なるので、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありません。

 親権者と監護権者は一致するのが原則ですが、親権者とは別に監護権者を決める場合もあります。

 監護権者を決めるにあたっては、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。

  

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

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7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.04.20更新

今回は、夫から精神的暴力(暴言)を受けている奥様から、精神的暴力を理由とする保護命令についてのご相談です。

結論:侮辱程度の暴言では保護命令は認められませんが、暴言で傷害が発生するような場合には、保護命令が認められる可能性もあります。

詳しくは下記のブログをお読みください。

夫からの精神的暴力(暴言)でお悩みの方は、無料相談をご利用ください。 

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1.ご相談者
 
 40代の女性(主婦) 

 ①夫は40代(会社員)

 ②婚姻期間は11年

 ③小学生の子供が1人

 

2.ご相談の内容

 夫は、結婚当初から、私の態度が気に入らないと「バカ野郎」「お前は女中以下だ」「誰のおかげで生活できるんだ」等と怒鳴り散らして暴言を吐き、子供にも「言うことを聞かないなら家から出て行け」等と大声で怒鳴ります。子供を連れて離婚しようと思っていますが、夫が追いかけてこないか心配です。

 DV夫の暴言を理由に保護命令は認められるでしょうか? 

 

3.ご相談への回答

 侮辱程度の暴言では保護命令は認められません。

 ただ、単なる暴言であっても、それによって傷害を生じ、刑法上の傷害罪に当たるような場合には、保護命令が認められる可能性もあります。 

 

(1)保護命令が認められるためにはどんな暴力・脅迫が必要なの?

 保護命令が認められるためには、①被害者が生命・身体に危害を与える身体に対する暴力や、②生命・身体に対する脅迫を受けたことが必要です。

 ①「身体に対する暴力」とは、身体に対する不法な攻撃で、生命・身体に危害を及ぼすものをいい、具体的には、刑法上の暴行罪・傷害罪に当たる行為をいいます。

 ②「生命・身体に対する脅迫」とは、生命・身体に害を加える旨の告知をいい、刑法上の脅迫罪に当たる行為をいいます。例えば、「殺すぞ」「殴るぞ」等がこれに当たります。

 

(2)精神的暴力(暴言)の場合に保護命令は認められないの?

  先程述べたとおり、保護命令が認められるためには、「生命・身体」に対する脅迫であることが必要なので、「バカ」「アホ」等、単に侮辱する程度の暴言では保護命令は認められません。

 DV防止法は、配偶者からの暴力(DV)とは「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」をいうとしているので、精神的暴力(暴言)もDVに含まれますが、保護命令の対象はあくまで生命・身体に対する脅迫なので、単なる精神的暴力(暴言)について保護命令は認められないのです。

  ただ、精神的暴力(暴言)であっても、それによって傷害が生じ、刑法上の傷害罪に当たるような場合には、保護命令が認められる可能性もあります。

(ケース)

 ①事案長年夫から暴言を受けてきた妻が夫に対する保護命令を請求

 ②結論保護命令を認めた

 ③ポイント暴言・寸止めが執拗に繰り返された、PTSDになった

 ④判例:裁判所は、妻が夫から長年、毎日のように「おまえは使うことだけできて働けない無能な女だ」「家事なんて仕事のうちじゃない」「物を買いすぎる。1日1000円でも使いすぎだ。」「死ね」等と非難され、別居の直前には拳を妻の顔めがけて振り回し、寸止めすることを繰り返され、PTSDと診断された場合には配偶者の暴力に当たるとして、保護命令を認めました(静岡地裁平成14年7月19日決定)。

 この判例は、直接、身体に対する暴力がない場合であっても、PTSDになった場合に、保護命令の対象となる暴力に該当すると判断したものと理解されています。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、夫から「バカ野郎」「お前は女中以下だ」「誰のおかげで生活できるんだ」等と怒鳴り散らして暴言を吐かれているとのことですが、生命・身体に対する脅迫にはあたりませんので、保護命令は認められません。

 ただ、暴言の程度にもよりますが、それによってPTSD等の傷害が生じているような場合には、例外的に保護命令が認められる可能性もあります。

 

5.今回のポイント

 保護命令が認められるためには、②生命・身体に対する脅迫を受けたことが必要です。

 「バカ」「アホ」等、単に侮辱する程度の精神的暴力(暴言)では保護命令は認められません。

 ただ、精神的暴力(暴言)であっても、それによって傷害が生じ、刑法上の傷害罪に当たるような場合には、保護命令が認められる可能性もあります。

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

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7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.04.19更新

今回は、夫からDV(暴力)を受けている奥様から、保護命令の内容と流れについてのご相談です。

結論:保護命令はDVの夫(妻)の接近等を禁止する制度です。保護命令は、警察等に相談した後、地方裁判所に申立てをします。裁判所が双方から事情を聞き、相手から事情を聴いたその日に命令が下されます。

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 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

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③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。 

 

1.ご相談者 
 
 30代の女性(主婦) 

 ①夫は30代(会社員)

 ②婚姻期間は6年

 ③幼稚園の子供がいる


2.ご相談の内容

 夫は、口論になると、すぐに手を出して殴ったり、髪の毛を引っ張ったりして暴力を振るい、毎回、打撲や痣ができるほどです。逃げたこともありますが、追いかけてきて力づくで戻されてしまいました。

 DVの夫と離婚したいのですが、保護命令の内容と流れを教えて下さい。

 

3.ご相談への回答

 保護命令には、①接近禁止命令、②退去命令、③子供への接近禁止命令、④親族等への接近禁止命令、⑤電話等の禁止命令があります。 

 管轄の地方裁判所に保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明します。相手方は、後日、裁判官と面接して意見を述べます。

 裁判所が保護命令を発令するのが相当と考えた場合には、早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令の申立にあたっては、事前に警察署やDVセンター等に相談する必要があります。

 

(1)保護命令って何?

  保護命令は、配偶者から生命・身体に危害を与える身体への暴力や生命・身体に対する脅迫を受け、さらに生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、裁判所が配偶者による生命・身体の危害を防止する制度です。

 保護命令には、①接近禁止命令、②退去命令、③子供への接近禁止命令、④親族等への接近禁止命令、⑤電話等の禁止命令があります。

 ①接近禁止命令は、被害者の身辺につきまとい、被疑者の住居や勤務先等の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、6か月間、つきまといや徘徊が禁止されます。 

 ②退去命令は、被害者と同居している住居から退去し、その住居の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、2か月間、住居から退去し、徘徊が禁止されます。

 ③子供への接近禁止命令は、被害者と同居している未成年の子供の身辺につきまとい、住居や学校等の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、6か月間、つきまといや徘徊が禁止されます。

 この命令が発令される前提として、接近禁止命令(①)が発令されることが必要です。 

 ④親族等への接近禁止命令は、親族等の身辺につきまとい、住居や勤務先等の付近を徘徊することを禁止する命令です。命令が出ると、6か月間、つきまといや徘徊が禁止されます。

 この命令が発令される前提として、接近禁止命令(①)が発令されることが必要です。

 ⑤電話等の禁止命令は、迷惑行為を禁止する命令です。

 迷惑行為には、ⓐ面会要求、ⓑ被害者の行動を監視していると思わせるような事項を告げること、©著しく乱暴な言動、ⓓ無言電話、ⓔ連続して電話、ファックス、電子メールの送信、ⓕ午後10時から午前6時まで電話、ファックス、電子メールの送信、ⓖ汚物等著しく不快な物の送付、ⓗ名誉を害する事項を告げること、ⓘ性的羞恥心を害する事項を告げ、または文書・図画の送付があります。

 命令が出ると、6か月間、迷惑行為が禁止されます。

 この命令が発令される前提として、接近禁止命令(①)が発令されることが必要です。

  

(2)保護命令はどんな場合に認められるの?

 保護命令が認められるためには、①被害者が生命・身体に危害を与える身体に対する暴力や、生命・身体に対する脅迫を受けたこと、②配偶者から暴力・脅迫を受けたこと、③被害者がさらなる配偶者の身体的暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要です。

 ①「身体に対する暴力」とは、身体に対する不法な攻撃で、生命・身体に危害を及ぼすものをいい、具体的には、刑法上の暴行罪・傷害罪に当たる行為をいいます。

 また、「生命・身体に対する脅迫」とは、生命・身体に害を加える旨の告知をいい、刑法上の脅迫罪に当たる行為をいいます。例えば、「殺すぞ」等がこれに当たります。

 ②暴力や脅迫をする「配偶者」の中には、婚姻届を出していないが、事実上婚姻関係(内縁関係)にある人も含まれます。

 また、内縁関係に至らなくても、生活の本拠を共にして交際している人も、保護命令の対象になります。

 ③「さらなる身体的暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい」とは、被害者が殺人や傷害、暴行の危害を受ける危険性が大きい場合をいいます。

 「さらなる暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい」かどうかは、配偶者が暴力を振るった頻度、暴力の態様、傷害の程度によって判断されます。 

 

(3) 保護命令の申立ての前にしておくことは何?

 保護命令の申立書には、警察署や配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)等に相談した事実を記載する必要があります。

 具体的には、相談した機関の名称、相談した日時・場所、相談した内容、相談に対して執られた措置の内容を記載する必要があります。

 また、申立後、裁判所は、警察署等の相談機関に相談内容を記載した書面を提出するよう連絡します。

 そのため、保護命令の申立にあたっては、事前に警察署やDVセンター等に相談する必要があります。

 事前に相談にしていない場合には、DVの状況、さらに生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認められる事情等を供述して、公証人の認証を受けた書面を提出する必要があるので、公証役場に行く必要があります。

 

(4)保護命令の申立はどうすればいいの?

 保護命令の申立は、相手方の住所、自分の住所・居所、暴力・脅迫が行われた場所を管轄する地方裁判所にします。

 申立書には、保護命令の内容、暴力や脅迫を受けた状況、生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい事情の他、警察等に相談した事実を記載します。

 また、子供や親族への接近禁止命令を求める場合には、子供や親族について相手方との面会を余儀なくされることを防止する必要があることを示す事情を記載する必要があります。

 申立にあたっては、戸籍謄本・住民票や、暴力・脅迫を受けたことを証明する診断書写真等が必要です。

 また、子供や親族への接近禁止命令を求める場合には、子供(15歳以上の場合)・親族の同意書や、署名が本人のものであることが分かる資料(手紙、テスト等)、対象となる人の戸籍謄本・住民票、接近禁止の必要性を示す資料が必要です。

 

(5)申立後の手続の流れはどうなってるの?

 保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明します。時間は2時間程度です。

 申立人の面接が終了すると、今度は1週間程度した後、相手方が裁判官と面接して、意見を述べます。その上で、裁判所は、保護命令を発令するかどうかを決めます。

 裁判所が保護命令を発令するのが相当と考えた場合には、早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令が発令されると、裁判所は、被害者の住所を管轄する警察本部や相談したDVセンターに連絡します。

 

(6)保護命令にはどんな効力があるの?

 保護命令が発せられても、強制的に配偶者のつきまといや徘徊を止めさせたり、電話等を止めさせたりすることはできません。

 しかし、保護命令が発せられると、裁判所から被害者の住所を管轄する警察本部に通知が行くので、加害者には警察から保護命令を守るよう指導警告がなされますし、被害者から通報があれば警察官がすぐに対応し、暴行や脅迫等があれば、加害者を逮捕してもらうこともできます。

 また、保護命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられるので、その限度では抑止力があるといえます。   

  ただ、実際に保護命令違反によって処罰されることも少なくありませんし、殺人事件に発展することもあるので、被害者からすると不十分と感じるところがあるかもしれませんが、何かあればすぐに警察に通報する準備だけはしておきましょう。

  

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、夫から暴力を振るわれて、打撲や痣ができるということなので、明らかにDVに当たりますから、保護命令の申立をするのがよいでしょう。 

 申立にあたっては、①接近禁止命令、②退去命令、⑤電話等の禁止命令が一般的ですが、夫が子供の居場所を探していたり、親族にあなたの居場所を聞いているような場合には、③子供への接近禁止命令や、④親族等への接近禁止命令を求める必要があります。

 管轄のある地方裁判所に保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明し、その後、1週間程度した後、今度は相手方が裁判官と面接して、意見を述べます。

 裁判所が保護命令を発令するのが相当と考えた場合には、早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令が発令されると、裁判所は、被害者の住所を管轄する警察本部や相談したDVセンターに連絡するので、安心して下さい。

 

5.今回のポイント

 保護命令には、①接近禁止命令、②退去命令、③子供への接近禁止命令、④親族等への接近禁止命令、⑤電話等の禁止命令があります。 

 保護命令が認められるためには、①被害者が生命・身体に危害を与える身体に対する暴力や、生命・身体に対する脅迫を受けたこと、②配偶者から暴力・脅迫を受けたこと、③被害者がさらなる配偶者の身体的暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要です。 

 保護命令の申立にあたっては、事前に警察署やDVセンター等に相談する必要があります。

 保護命令の申立は、相手方の住所、自分の住所・居所、暴力・脅迫が行われた場所を管轄する地方裁判所にします。その際、戸籍謄本・住民票や、診断書や写真等の暴力・脅迫を受けたことを証明する資料が必要です。

 保護命令の申立をすると、申立人は、当日か、数日内に裁判官と面接して、申立に至る事情を直接説明し、その後、1週間程度した後、今度は相手方が裁判官と面接して、意見を述べます。早ければその日に保護命令が発令されます。

 保護命令が発令されると、裁判所は、被害者の住所を管轄する警察本部や相談したDVセンターに連絡します。

 保護命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

 ブログを読んだけれど一人では解決できそうもない、ブログを読んで自分でやってみたけれど解決できなかったという方は、是非、当弁護士にご相談ください。

 当弁護士へのご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

 まずは、安心してお気軽にご相談ください。 

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7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

2016.04.06更新

今回は、夫からDVを受けている奥様から、夫から逃げるための相談機関や準備についてのご相談です。 

結論:まずは、警察に相談しましょう。生活全般については、配偶者暴力相談支援センターや福祉事務所に相談するのがよいでしょう。別居するにあたっては、①逃げる準備、②別居後の生活のための準備、③裁判の準備が必要です。 

詳しくは下記のブログをお読みください。

夫(妻)のDVでお悩みの方は、無料相談をご利用ください。 

① まずは電話で質問してみる03-6912-3900(平日9:00~19:00)タップするとつながります。

 ※三ツ村(ミツムラ)をご指名ください。お話をお聞きして簡単なアドバイス(10分程度)をさせていただきます。

② まずはメールで質問してみる➡お問い合わせフォームはこちら 

 ※弁護士に直接メールが届きます。簡単なアドバイスをさせていただきます。

③ 無料相談を予約する➡ご予約はこちら ※空き時間を検索できます。

 

1.ご相談者 
 
 40代の女性(主婦) 

 ①夫は40代(公務員)

 ②婚姻期間は15年

 ③中学生と小学生の2人の子供がいる

 

2.ご相談の内容

 夫は、やさしいときもありますが、気に入らないことがあると、殴る、蹴る、首を絞める、髪の毛を引っ張るなどの暴力を振るい、「バカ」「アホ」「死ね」「殺すぞ」「誰のおかげでメシを食えると思ってるんだ」などと暴言を吐きます。子供もまだ小さいので、離婚するのを我慢してきました。

 DVの夫から逃げて離婚したいのですが、どこに相談して、何を準備すればよいでしょうか。

 

3.ご相談への回答

 身の安全を守るため、まずは、警察に相談しましょう。

 住宅や生活費、子供の学校等、生活全般については、配偶者暴力相談支援センターや福祉事務所に相談するのがよいでしょう。 

 別居するにあたっては、①逃げる準備、②別居後の生活のための準備、③裁判の準備が必要です。

 

(1)まずは別居しましょう

 DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、法律上「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」とされています。

 具体的には、①身体的暴力(殴る、蹴る、首を絞める等)、②精神的暴力(「死ね」「殺すぞ」「バカ」等の暴言)、③性的暴力(セックスの強要等)、④経済的暴力(生活費を渡さない等)がこれに当たります。

 DVを受けていると、打撲や捻挫、痣、骨折等の身体的な傷害のほか、精神的にもダメージを受けて、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患を発症してしまいます。

  DVの被害を受けている場合には、自分や子供の身の安全を守るするためにも、なるべく早く別居して逃げることが大切です。

 

(2)どこに相談したらいいの?

  DVの場合、身の安全を守るためにはなるべく早く別居して逃げるのがよいことに間違いありません。ただ、やはり第三者の協力が必要なので、身の安全を守るためにまずは警察に相談しましょう。

 警察は、DVが暴行、傷害、脅迫など犯罪に当たる場合には、被害者が被害届を提出することによって加害者を逮捕してくれます。また、口頭による指導・警告や被害者の自宅のパトロールもしてくれます。他にも、住民基本台帳の閲覧制限行方不明届がなされた場合の対応、110番緊急通報登録システムへの登録等の支援をしてくれます。

 また、別居する場合には、別居後の自分や子供の生活を確保する必要があります。生活支援については、配偶者暴力相談支援センター福祉事務所に相談するのがよいでしょう。

 例えば、別居後の住居については、DV被害者の場合、公営住宅に優先的に入居することができますし、転居先が見つかるまで一時保護施設(シェルター)で生活することもできます。また、夫からの生活費の送金が期待できない場合やDV被害者本人が仕事に就けないような場合には、夫の財産や収入に関係なく、生活保護を受けることができます。子供を別の小中学校を転校させたい場合には、住民登録がなくても転校することができます。転校に当たっては、転出する学校にもDVであることを伝えておくと、DV加害者が子供のことを学校に問い合わせても回答を拒否してくれます。

 センターや福祉事務所は、カウンセリングの他、住居や生活費、子供の学校、仕事等、生活全般について情報を提供したり、関係機関と連絡を取ったりして相談に乗ってくれるので、是非相談しましょう。

  

(3)何を準備をしたらいいの?

 先程も述べたように、DVの場合、まず、別居して逃げることが先決ですが、別居した後の自分と子供の生活についても考えなくてはいけません。また、最終的な目的は、DVを理由に裁判で離婚することにあるので、DVの被害を証明するための証拠を準備する必要があります。

 したがって、別居するにあたっては、①逃げる準備、②別居後の生活のための準備、③裁判の準備が必要になります。

 ①逃げる準備については、まず、別居後の住居を決めておく必要があります。住居が決まったら、別居後の生活に必要な衣類や家財道具等を選んで、荷造りをします。荷造りは相手に気付かれないようにしなければいけませんし、運ぶことも考えると、必要最小限にせざるを得ません。同時に、逃げる日を相手に気づかれないように確実に相手がいない日を選び、予め車や引越業者を手配するなど、当日は短時間で逃げられるようにしておく必要があります。

 ②別居後の生活のための準備については、やはりお金が重要です。自分に収入があれば別ですが、そうでない場合には、相手に婚姻費用を払ってもらうにもそれなりに時間がかかるので、現金や通帳、キャッシュカード、クレジットカード等を用意しておく必要があります。

 他にも、印鑑、健康保険証、母子手帳、運転免許証、携帯電話、子供の学校道具等、日常生活に必要な物は持って行く必要があります。

 ③裁判の準備については、DVの被害を証明する資料(写真、録音、手紙、メール・SNS、診断書等)の他、財産に関する資料(相手名義の通帳のコピー、保険証書、不動産登記識別情報等)を用意しておく必要があります。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 夫から逃げるにあたっては、自分や子供の身の安全を確保するため、まずは、警察に相談しましょう。同居中はもちろん、別居後も何かあれば、素早く対応してくれますし、自宅の周辺を定期的にパトロールしてくれます。

 また、別居後の生活については、配偶者暴力相談支援センターや福祉事務所に相談するのがよいでしょう。カウンセリングの他、住宅や生活費、子供の学校等について情報を提供したり、関係機関と連絡を取ったりして相談に乗ってくれます。

 別居する前の逃げる準備(①)として、まず、別居後の住居を決め、夫に気づかれないよう衣類や家財道具等の生活に必要最小限の物を選んで荷造りし、夫が確実にいない日を選んで、短時間で逃げられるよう予め車や引越業者を手配しておくとよいでしょう。

 別居後の生活のための準備(②)として、現金、通帳、キャッシュ―カード、クレジットカード、印鑑、健康保険証、運転免許証、携帯電話、子供の学校道具等を準備しておくとよいでしょう。

 裁判の準備(③)として、DVの被害を証明する資料や財産に関する資料を用意しておく必要があります。

 

5.今回のポイント

 DVの被害を受けている場合には、自分や子供の身の安全を守るするためにも、なるべく早く別居して逃げることが大切です。

 身の安全については警察に、生活全般については配偶者暴力相談支援センターや福祉事務所に相談するのがよいでしょう。

 別居するにあたっては、①逃げる準備、②別居後の生活のための準備、③裁判の準備が必要です。

 逃げる準備(①)については、まず、別居後の住居を決め、生活するのに必要最小限の衣類や家財道具等を選んで荷造りをし、確実に相手がいない日を選び、予め車や引越業者を手配するなど、当日は短時間で逃げられるようにしておく必要があります。

 別居後の生活のための準備(②)については、現金や通帳、キャッシュカード、クレジットカードの他、印鑑や健康保険証、運転免許証、携帯電話、子供の学校道具等、日常生活に必要な物を準備してきましょう。

 裁判の準備(③)については、DVの被害を証明する資料(写真や録音、手紙、メール・SNS、診断書等)の他、財産分与の対象となる財産に関する資料(相手名義の通帳のコピー、保険証書、不動産登記識別情報等)を用意しておく必要があります。 

 

6.一人では解決できない方、自分でやったけれど解決できなかった方へ

 ブログを読んだけれど一人では解決できそうもない、ブログを読んで自分でやってみたけれど解決できなかったという方は、是非、当弁護士にご相談ください。

 当弁護士へのご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

 まずは、安心してお気軽にご相談ください。 

>>永田町・赤坂見附の弁護士三ツ村の離婚問題に関する情報はこちら

 

7.弁護士費用(税別)

① 離婚交渉・調停事件

  着手金 30万円(さらに10%OFF)

  報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。

 

② 離婚訴訟事件

  着手金 40万円(さらに10%OFF)   

  報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)

  ※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。

  

③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)

  300万円以下の場合           16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)

  1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額

 

⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)

  着手金 15万円   

  報酬金 0円

  

⑥ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

 

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