今回は、浮気(不倫)をした夫(有責配偶者)から離婚を求められている奥様から、浮気した夫からの離婚請求が認められるかどうかのご相談です。
結論:浮気をした夫からの離婚請求が認められることもあります。
詳しくは下記のブログをお読みください。
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1.ご相談者
30代の女性(会社員)
①夫は30代(会社員)
②婚姻期間は8年
③幼稚園の子供が1人
2.ご相談の内容
1年くらい前に夫が浮気(不倫)をしていることが分かりました。私が夫を責めると、夫は開き直って家を出て行き、現在も浮気(不倫)の女性と一緒に暮らしています。
ところが、最近になって、突然、夫から「離婚してほしい」と言われました。
私が「離婚するつもりはない」と言うと、夫は「離婚しないなら裁判をする」と言ってきました。
私には、まだ小さい子供もいますし、夫が浮気(不倫)をしたのに、なぜ私が夫に言われるまま離婚しなければならないのか全く理解できません。
浮気(不倫)をした夫からの離婚の請求は認められるのでしょうか?
3.ご相談への回答
離婚の原因を作った有責配偶者からの離婚請求であっても、一定の要件を充たす場合には離婚の請求が認められます。
(1)浮気(不倫)をした夫(有責配偶者)からの離婚請求は認められるの?
浮気(不倫)など離婚の原因を作った配偶者のことを「有責配偶者」(ゆうせきはいぐうしゃ)といいます。
かつて、有責配偶者からの離婚請求は、正義・公平や社会倫理に照らして許されるものではありませんし、離婚について責任のない配偶者を保護する観点から認められていませんでした。
ところが、昭和62年に、36年間浮気相手と同居し、浮気相手の子供2人を認知している夫が妻に離婚を請求した事案で、最高裁判所は、夫婦の共同生活を営む意思を確定的に喪失してその実体を欠き、回復の見込みが全くない場合には、戸籍上だけの婚姻を存続させることは不自然であるから、正義・公平の観念、社会的倫理観(信義誠実の原則)に照らして容認されるような場合には、有責配偶者からの離婚請求も認められるとしました(最高裁昭和62年9月2日判決)。
そのため、以後、有責配偶者からの離婚請求であっても離婚が認められるようになりました。
(2)どんな場合に離婚請求が認められるの?
有責配偶者からの離婚が認められると言っても、あくまで信義誠実の原則に照らして容認される場合でなければいけません。
具体的には、①夫婦の別居が夫婦の年齢と同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、②夫婦の間に未成熟の子がいないこと、③相手の配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと、が必要とされています(最高裁昭和62年9月2日判決)。
(3)別居期間ってどれくらいなの?
①の別居期間ですが、同居期間と比較してどれくらいの期間であれば長期間といえるのかは一概にいえません。
昭和62年の最高裁は、36年の別居期間で離婚を認めましたが、その後は、30年(最高裁昭和62年11月24日判決)、22年(最高裁昭和63年2月12日判決)、16年(最高裁昭和63年4月7日判決)とだんだん短くなり、8年(最高裁平成2年11月8日判決)、さらには6年(東京高裁平成14年6月26日判決)で離婚が認められる場合もあります(詳しくは、こちら)。
(4)未成熟の子って20歳までなの?
②の未成熟の子については、必ずしも20歳を基準にして画一的に決めるわけではありません。
(ケース1)
①事案:浮気をした夫が19歳の子供がいる妻に離婚を請求
②結論:離婚を認めなかった
③ポイント:20歳に近く、独立して生活している
④判例:裁判所は、子供は未成年者とはいえ、既に19歳の半ばを超え、大学生となり寮に入って独立して生活しているとして、未成熟の子とは認めませんでした(大阪高裁昭和62年11月26日判決)。ただし、結論としては、離婚の請求は認められていません。
逆に、20歳を超えていても、未成熟の子にあたる場合もあります。
(ケース2)
①事案:浮気をした夫が障害者の成年の子供がいる妻に離婚を請求
②結論:離婚を認めなかった
③ポイント:子供が障害を持ち介護が必要
④判例:裁判所は、子供は既に成年に達し、大学を卒業しているが、肢体麻痺の障害により両手両足が不自由で、日常生活全般にわたり介護が必要な状況にあるから、実質的には未成熟の子と同視できるとし、結論として夫の離婚の請求を認めませんでした(東京高裁平成19年2月27日判決)。
また、未成熟の子がいても、離婚が認められる場合もあります。
(ケース3)
①事案:浮気をした夫が高校2年生の子供がいる妻に離婚を請求
②結論:離婚を認めた
③ポイント:夫がこれまで生活費を渡し、今後も継続が期待できる
④判例:裁判所は、4人の子供のうち3人は成人して独立し、1人は高校2年生で未成熟の子ではあるが、同人は3歳の幼少から一貫して妻に育てられ、まもなく高校を卒業する年齢に達し、他方、これまで夫は毎月15万円を送金し、今後も離婚に伴う経済的給付の実現を期待でき、未成熟の子の存在が離婚の請求の妨げにはならないとして、夫の離婚の請求を認めました(最高裁平成6年2月8日判決)。
(5)精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態ってどんな場合?
③の離婚によって精神的・社会的・経済的に過酷な状態おかれないことについては、精神的・社会的に過酷な状態が問題となることはほとんどなく、経済的に過酷な状態におかれるかどうかが問題となります。
(ケース1)
①事案:浮気をした夫が障害者の成年の子供がいる妻に離婚を請求((4)ケース2)
②結論:離婚を認めなかった
③ポイント:障害者の子供を置いて就業することは不可能
④判例:裁判所は、介助を必要とする身体障害者の子供を放置して母親が相当時間就業することは不可能であり、54歳の年齢では安定した職業を見つけることも困難であり、また、妻は、夫が賃借する建物に住んでいて、離婚した場合には建物からの退去を余儀なくされる可能性もあるから、離婚により経済的に困窮することは十分予想されるとして、夫の離婚の請求を認めませんでした(東京高裁平成19年2月27日判決)。
(ケース2)
①事案:浮気をした夫が収入のある妻に離婚を請求
②結論:離婚を認めた
③ポイント:妻に相当な収入がある、住宅が確保される可能性が高い
④判例:裁判所は、別居期間が6年で、子供は成人して大学を卒業し、未成熟の子がいないことに加え、妻が英語の教師として勤務し相当の収入を得ていることや、夫が離婚に伴い妻が住んでいる建物を妻に与え、住宅ローンも完済するまで払い続けることを表明していることを理由として、夫の離婚の請求を認めました(東京高裁平成14年6月26日判決)。
4.ご相談者へのアドバイス
ご相談者の場合、まだ別居してから1年くらいしか経っていませんし、お子さんも小さいので、離婚するとなると経済的にもかなり苦しくなります。
したがって、離婚が認められる可能性は低いと思われます。
離婚したくないのであれば、夫の要求を拒否していればよいでしょう。
なお、別居しているとのことですので、婚姻費用の請求は忘れずにしましょう。
5.ご相談後の対応
(1)夫からの離婚調停の申立て
アドバイスに従って、ご相談者が夫に離婚を拒否したところ、夫は、離婚の調停を申し立ててきました。
夫にも弁護士が代理人として就きました。
調停では、こちらから、調停員に、夫が不倫していたことや別居期間が短いこと、小さい子供がいること、奥様が専業主婦で経済力がないことなどを説明しました。
夫は、不倫を認めました。
代理人が就いていたので、離婚が難しいと考えていたのか、もっぱら離婚するための金銭的な条件について話し合いをしました。
夫からは最初に500万円の提案がありましたが、こちらからは今後の生活費と慰謝料を含めて2000万円を要求しました。
奥様としては、金銭的な条件もさることながら、やはり心情的に許せず、子供もまだ小さくて将来の生活に不安がありました。そのため、最終的には離婚には応じず、調停は不成立になりました。
その後、夫から離婚の訴訟は提起されていません。
(2)今後の展開
夫は、最終的には離婚訴訟をしてきませんでしたが、いずれ離婚訴訟をしてくる可能性は高いと言えます。そのときには、また対応する必要があります。
いつの時点で訴訟を提起してくるか分かりませんが、今回とは事情が違うので、そのときの状況に応じて離婚請求を認めるかどうかが判断されます。
6.今回のポイント
有責配偶者からの離婚請求も、一定の要件を充たす場合には認められます。
有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、①夫婦の別居が夫婦の年齢と同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、②夫婦の間位に未成熟の子がいないこと、③相手の配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと、が必要です。
別居期間はだんだん短くなり、8年、さらには6年で離婚が認められる場合もあります。
未成熟の子については、必ずしも20歳を基準にして画一的に決めるわけではなく、20歳を超えていても、未成熟の子にあたる場合もあります。
未成熟の子がいるからといって、直ちに離婚請求が認められないというわけではありません。
有責配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、ケースバイケースなので、それぞれの事情を具体的に考慮して総合的に判断する必要があります。
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8.弁護士費用(税別)
① 離婚交渉・調停事件
着手金 30万円(さらに10%OFF)
報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。
② 離婚訴訟事件
着手金 40万円(さらに10%OFF)
報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。
③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)
300万円以下の場合 16%
300万円を超えて3000万円までの場合 10%+18万円
3000万円を超えて3億円までの場合 6%+138万円
④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)
1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額
⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)
着手金 15万円
報酬金 0円
⑥ 着手金以外に日当は発生しません。
その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。