2018.07.14更新

消費者金融に借金がある方から、借金と時効についてのご相談です。

結論:消費者金融からの借金の消滅時効の期間は、支払日の翌日から5年です。消滅時効が認められるためには、時効を援用する必要があります。時効を援用するには、配達証明を付けて、内容証明郵便で債権者に通知します。信用情報機関の延滞の情報は、時効消滅によって違う表記になります。

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1.ご相談者

 30代の男性

 ①職業      派遣社員

 ②債権者数   2社

 ③負債額    100万円

 ④負債の原因  生活費、ショッピング

 

2.ご相談の内容

 消費者金融から借金があります。7~8年前にかなり長期間、無職になった時期があり、それ以降全く返済していませんでした。ところが、最近、友人から時効になっているから、払わなくていいのではないかと言われました。また、時効を主張するには時効の援用をしないといけないとも聞きました。

 借金は時効でなくなっているのでしょうか?

 時効期間が経過すれば、消滅時効は認められるのでしょうか?

 時効の援用はどうしたらよいでしょうか?

 信用情報機関の延滞の情報はすぐに消えるのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 消費者金融からの借金の消滅時効の期間は、支払日の翌日から5年です。 

 消滅時効が認められるためには、時効を援用する必要があります。

 時効を援用するには、配達証明を付けて、内容証明郵便で債権者に通知します。 

 信用情報機関の延滞の情報は、時効消滅によって違う表記になります。

 

(1)借金が時効で消滅するのに何年必要なの?

 借金は、貸主(消費者金融などの債権者)が一定の期間、権利を行使しないと時効によって消滅します。

 借金の時効期間には、5年の場合と10年の場合があります。

 時効期間がいずれであるかは、貸主が商人であるかどうか、借主が商人であるかどうかに関わります。貸主が商人あるいは借主が商人であれば、時効期間は5年になります。そうでない場合、つまり、貸主と借主のいずれも商人でない場合には、時効期間は10年になります。

 例えば、貸主消費者金融銀行の場合は、貸主が商人なので、時効期間は5年になります。

 また、貸主が個人の場合、貸主は商人ではありませんが、借主会社個人事業主の場合には、借主が商人なので、時効期間は5年になります。 

 これに対して、貸主と借主が両方とも個人の場合には、いずれも商人ではないので、時効期間は10になります。

 また、貸主が金融機関であっても、信用金庫住宅金融支援機構は、商人ではないとされているので、個人に貸し付ける場合には、時効期間は10年になります。

 

(2)裁判で判決になったらどうなるの?

 このように、貸主が消費者金融や銀行の場合、時効期間は5年ですが、通常、消費者金融や銀行は、長期にわたって支払が滞ると、裁判をして支払を求めます。

 支払を命じる裁判が確定すると、判決が確定した日の翌日から10年経過しないと時効にはなりません。

 よく相談者から、「住所不定で、消費者金融から5年以上請求されていないので、時効が完成していますよね。」と聞かれますが、消費者金融や銀行が裁判をせずに放置するということはあまり考えられません。

 借主が住民票上の住所にいない場合であっても、貸主は、公示送達の方法によって裁判を確定させることができるので、裁判によって時効期間が10年になっている可能性があることに注意する必要があります。

 

(3)消滅時効はいつから進行するの?

 消滅時効は、貸主が権利を行使できるときから進行します。

 消費者金融から借り入れた場合、通常、支払日が設定されているので、時効は、支払日の翌日から進行します。例えば、支払日が7月31日なのに払えなかったという場合、時効は、8月1日から進行します。

 消費者金融への支払は毎月しますが、一度支払を怠った場合の残りの債務について、消費者金融の約款には、①借主が期限に支払わなかったとき直ちに残債務の全額を支払う、あるいは、②借主が督促状で定められた期間内に支払わなかったとき直ちに残債務の全額を支払うと書かれています。

 ①の場合には、一度支払わないと直ちに一括請求になるので、 支払をしなかったもともとの支払日の翌日から残債務の全額について時効が進行します。例えば、支払日が7月31日なのに払えなかったという場合、その月の支払だけでなく、残りの全部について、8月1日から時効が進行します。

 他方、②の場合には、督促状で定められた期間内に支払わないときに一括請求になるので、督促状で定められた支払日の翌日から残債務の全額について時効が進行します。例えば、支払日が7月31日なのに払えなかったが、督促状で8月31日までに支払うように求められた場合には、残りの全部について、9月1日から時効が進行します。

 

(4)5年で時効にならない場合はあるの?

 消滅時効には、中断が認められています。 

 消滅時効が中断すると、それまで進行していた時効は元に戻り、中断した時点から新たに時効が進行します。

 そのため、例えば、消費者金融から借り入れた場合、時効期間は5年ですが、4年経過後に時効が中断すると、そこから新たに5年の時効が進行することになるので、実際には時効が完成するまで9年かかることになります。 

 中断の事由には、貸主の行為によるものと、借主の行為によるものがあります。

 貸主の行為によるものとして、裁判での請求や、借主の財産の差押などがあります。

 よく消費者金融から催告書が届くことがありますが、これだけでは時効は中断しません。この場合、催告してから6か月以内に、裁判での請求や、差押などをした場合に初めて時効が中断します。

 借主の行為によるものとして、債務の承認の場合、時効が中断します。

 債務の承認には、純粋に債務を認める場合だけでなく、返済や、支払の猶予を求める場合もこれに含まれます。

 裁判での請求や差押は、貸主の行為なので、借主はどうすることもできませんが、債務の承認は、借主が承認しなければよいので、債務の承認にはくれぐれも注意しましょう。

 

(4)時効期間が経過すれば消滅時効は認められるの?

 消滅時効が認められるためには、時効期間が経過しただけでは足りず、時効によって借金が消滅したことを貸主に対して主張する必要があります。これを時効の援用といいます。

 具体的には、貸主(消費者金融の名前・住所)、借主(自分の名前・住所・生年月日)、契約の内容(契約日、借入額、契約番号)を書いた上、時効の起算日(返済日など)から時効期間(5年)を経過しているので、時効を援用し、借金が消滅していることを書きます。

 時効の援用の方法は、内容証明郵便で通知します。併せて、配達したことを証明する配達証明書も申し込みます。

 内容証明郵便の書き方は、定型の書式を購入するのであれば、それに従って書けば問題ありません。

 そうでない場合には、書き方にルールがあるので、注意しましょう。

 まず、字数と行数に制限があります。縦書きか横書きかによって違いはありますが、通常、1行20字以内、26行以内で書きます。

 字数の数え方については、例えば、①を使う場合には、〇と1で2文字と数えるので注意しましょう。 

  パソコンで作成する場合には特に問題ありませんが、手書きの場合、間違えることがあります。この場合、間違えた箇所を二重線で引いて押印し、「〇字削除」「〇字加筆」と書いて訂正します。

 枚数が2枚以上になる場合には、それぞれのページの間に契印を押します。

 最後に、同じものを3部作成し、封筒と一緒に郵便局に持って行きます。

 

(5)時効期間経過後に返済したらどうなるの?

 先程説明したように、時効期間が経過した後、時効を援用すれば、消滅時効が認められます。しかし、時効期間が経過した後で、借主が時効が完成したことを知らないで債務を承認すると、時効を援用することができなくなります。

(ケース1)

 ①事案債権者が時効完成後に債務を承認した債務者の財産に強制執行

 ②結論強制執行を認めた(消滅時効を認めなかった)

 ③ポイント債務者が時効完成後に公正証書を作成した

 ④判例:債権者が、時効完成後に借金を認める公正証書を作成した債務者の財産に強制執行したのに対して、債務者が借金の消滅時効を理由に異議を申し立てた事案で、裁判所は、時効完成後に債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅と相容れない行為であるから、債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、完成した消滅時効を援用することは信義則上許されないとしました(最高裁昭和41年4月20日判決)。

 もっとも、時効期間が経過した後に返済したとしても、時効の援用が認められる場合もあります。

(ケース2)

 ①事案貸金業者が時効完成後に返済した債務者に貸付金14万円、損害金25万円を請求

 ②結論貸金業者の請求を認めなかった(消滅時効を認めた)

 ③ポイント貸金業者が違法に高額な請求をした、債務者に入金を急かした、債務者が1回5000円の支払しかしていない、1か月も経たずに原契約を争った

 ④判例:貸金業者が、時効完成後に5000円を返済した債務者に貸付金14万円を請求した事案で、裁判所は、貸金業者が消滅時効完成後1年9か月して債務者に電話をしていること、利息制限法の利率によらずに原契約に基づいて66万円を請求していること、翌月からの支払を希望する債務者に早急な入金を依頼したこと、債務者が貸金業者からの催促の翌日に5000円を払ったが、1か月も経たないうちに原契約について争う態度を示して以後弁済していないことから、貸金業者が消滅時効の援用を阻止する目的で督促し、債務者がその趣旨を理解せず一部弁済したものであり、債務者が消滅時効を援用することが信義則に反するとはいえないとして、消滅時効の援用を認め、貸金業者の請求を認めませんでした(東京地裁平成28年10月27日判決)。

 

(6)消滅時効を援用すると信用情報機関の延滞の情報は消えるの?

 消費者金融などは、信用情報機関(CIC、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC))に加盟しているので、延滞が発生すると、信用情報機関に延滞の事故情報を提供します。

 延滞の情報が信用情報機関に登録されると、新たな借金、ローンの利用、クレジットカードの利用等ができなくなります。

 一般的に、延滞の情報は、延滞している間は、当然に消えません。

 また、延滞が解消されても、すぐには消えません。JICCでは延滞が解消した日から1年間、CICやKSCでは契約が終了した日(完済した日)から5年間は、延滞の情報が消えません。

 消滅時効を援用した場合には、信用情報機関によって取り扱いは異なりますが、延滞していた消費者金融などの情報自体が削除されて「該当なし」となる場合もあれば、「契約終了」「貸し倒れ」「完済」となる場合もあります。いずれになるかは、消費者金融などが信用情報機関に報告の仕方によります。

 「該当なし」であれば、特に問題ありませんが、「契約終了」「貸し倒れ」「完済」の情報は、すぐに消えるわけではなく、5年間は消えません。

 ただ、「契約終了」や「完済」であれば、特に問題はないので、気になる人は、信用情報機関に情報開示の手続を取るとよいでしょう。

 

4.ご相談者への対応

 ご相談者は、消費者金融から7~8年前からずっと返済していないということですが、本当にそうなのか分からないので、信用情報機関にご相談者の信用情報の開示の手続をしてもらいました。

 開示記録をみると、1社については、延滞日から5年以上経過していたので、内容証明郵便で消滅時効を援用して借金が消滅していることを通知しました。

 もう1社については、延滞日から5年以上経過していましたが、内容証明郵便で通知をしたところ、裁判手続きによって判決が下され、確定していると言われてしまいました。そこで、ご相談者と相談して、金額が少なかったこともあり、任意整理をすることにし、無理のない範囲で返済してもらうことができました。

 

5.今回のポイント

 消費者金融や銀行から借り入れた場合、時効期間は5年ですが、支払を命じる判決が確定すると、判決が確定した日の翌日から10年経過しないと時効にはなりません。  

 時効は、支払日の翌日から進行します。

 一度支払を怠ると直ちに残債務の全額を支払う場合には、支払日の翌日から、督促状で定められた期間内に支払わなかったとき直ちに残債務の全額を支払う場合には、期間が経過した日の翌日から、時効が進行します。

 裁判上の請求、差押、債務の承認などによって時効が中断した場合には、中断した時点から新たに時効が進行します。

 消滅時効が認められるためには、時効を援用する必要があります。

 時効を援用するには、配達証明を付けた内容証明郵便で通知します。

 時効が完成したことを知らないで債務を承認すると、時効を援用することができなくなることがあります。 

 消滅時効を援用した場合には、信用情報機関の延滞の事故情報は、「該当なし」「契約終了」「貸し倒れ」「完済」のいずれかになります。 

 

6.一人では解決できない方、早く借金を何とかしたい方へ

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 当弁護士へのご相談の際には、初回60分の無料相談をご利用いただけます。

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7.弁護士費用(税別)

①任意整理           着手金        報酬金

 借金が残る場合       1社 20,000円     0円(減額報酬はありません)

 過払金が発生する場合         0円     回収金額の20%(交渉の場合)

                    0円     回収金額の25%(裁判の場合)

 

②個人破産

 同時廃止            250,000円    0円 

 少額管財            300,000円    0円 

 

③法人・個人事業者破産

 債権者5社以下          300,000円    0円

 債権者10社以下          400,000円     0円

 ※ただし、店舗1か所 、従業員10人以下の場合。代表者の破産は上記費用に含まれます。それ以外の場合は、ご相談ください。

 

④個人再生

 住宅ローン特約なし       250,000円    0円 

 住宅ローン特約あり       300,000円    0円

 

分割払いも可能です。

他に、通信費・交通費等の実費、裁判所への申立手数料、予納郵券、予納金が必要となります。  

 

CONTACT Tel.03-6912-3900