2016.09.01更新

内縁の奥様から、死亡退職金の相続人への返還についてのご相談です。


1.ご相談者

 50代の女性

 ①被相続人

  50代の男性

 ②相続人

  長男

 

2.ご相談の内容

 内縁の夫が亡くなりました。私は、夫が前の妻と死別した後、夫と暮らすようになりましたが、夫が長男に気兼ねして婚姻届を出すことはしませんでした。

 最近になって、私に死亡退職金が払われることになったのですが、長男から死亡退職金を返すように言われています。死亡退職金を長男に渡さないといけないのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 死亡退職金を相続人に渡す必要はありません。

 

(1)死亡退職金は相続財産にならないの?

 死亡退職金は、相続財産にはなりません。

 相続財産は、死亡したときにその人に帰属している財産のことを言うので、死亡によって初めて発生する死亡退職金請求権は相続財産にはなりません。

 また、死亡退職金を支給するにあたっては、通常、遺族の生活保護の観点から、死亡退職金を支給する遺族の範囲と支給する順位が定められています。

 このように死亡退職金は、相続財産と異なる取り扱いがなされているので、相続財産にならないとされています。

 

(2)どんな場合があるの? 

 例えば、学校の教員であったAが死亡退職金を母と兄弟に与える遺言をしたが、別居中であった妻Bに支給するということで、県が母らへの支給を拒否したという事案がありました。

 この事案で、最高裁は、「条例で死亡退職手当は遺族に支給するものとし、支給を受ける遺族のうち、第一順位者は配偶者であって、配偶者があるときは他の遺族は全く支給を受けないことなど受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは著しく異なった定め方がされていることが明らかであるから、右規定は、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者をさだめたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、自己固有の権利として取得し、相続財産に属さない。」と判断しました(最高裁昭和58年10月14日判決)。

 ちなみに、条例では、支給対象の範囲と順位については、①配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、②こ、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していたもの、③前号に掲げるもののほか、職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していた親族、④子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第2号に該当しないもの、とされていました。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合も、おそらく死亡退職金の規程に基づいて、あなたに死亡退職金が支給されていると思われます。先程の事例にもあったように、内縁関係にある人も支給対象となる場合がありますので、そのような場合には、内縁の妻に支給されることもあります。

 死亡退職金は、相続財産でないので、内縁の妻に支給された死亡退職金を長男に返還する必要はありません。

 

5.今回のポイント

 死亡退職金は、相続財産ではありません。

 したがって、死亡退職金を相続人に返還する必要はありません。

 

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