2016.09.03更新

お母様を亡くされたご長女から、誰が遺骨を取得するかについてのご相談です。


1.ご相談者

 60代の女性

 ①被相続人

  80代の母

 ②相続人

  ご相談者(長女)と長男

 

2.ご相談の内容

 母が亡くなりました。弟と遺産について話をしているのですが、遺骨の管理の方法について意見の違いがあり、どちらが遺骨を管理するか揉めています。

 このような場合、どのように遺骨を取得する人を決めるのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 遺骨の管理に争いがある場合、家庭裁判所が決めた祭祀承継者が遺骨を取得します。

 

(1)遺骨を取得する人はどのように決めるの? 

 遺骨の所有権の取得については、仏壇や墓石のように民法で定められていませんが(民法897条参照)、裁判所は、墓石などと同様に、「遺骨は慣習にしたがって祭祀を主宰すべき者に帰属する」としています(最高裁平成元年7月18日判決)。

 したがって、遺骨も、祭祀承継者に帰属することになります。

 

(2)祭祀承継者はどうやって決めるの?

 祭祀承継者は、亡くなった被相続人が祭祀承継者を指定していれば、指定された人が祭祀承継者になり、そのような指定がなければ、慣習によって決めます(民法897条1項)。慣習がない場合には、家庭裁判所が決めます(民法897条2項)。

 家庭裁判所が祭祀承継者を決めるにあたっては、取得する人と亡くなった人との身分関係や生活関係、遺骨の場所、管理の経緯、取得する人の意思・能力等が考慮されます。

 総合的な判断によるので、誰が取得者になるかはケースバイケースと言えます。

 

(3)どんな場合があるの?

 例えば、生前、母が本家の墓に入らいたくないと言っていたので、他の寺に納めたいと考える二女と、夫婦で同じ墓に入れたいと考える長女との間で、二女が長女に遺骨の引き渡しを求めた事案がありました。

 この事案で、裁判所は、「長女は、母の住居に隣接して居住し、母を介護して、親密に交流し療養に努め、遺骨を先祖代々の墓に入れ、仏壇を自宅に引き取る意向である」のに対し、「二女は、墓を自ら管理する意思はなく、仏壇を処分する意向である」から、遺骨の所有権の取得者を長女とするのが相当と判断しました(名古屋高裁平成26年6月26日決定)。

 ちなみに、この事案の第1審では、二女が遺骨の所有権の取得者とされていました。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、遺骨の管理の方法について意見の相違があるということですが、話し合いが可能であれば、分骨という方法も選択肢の1つです。

 話し合いがまとまらないようであれば、家庭裁判所で祭祀承継者を決めるほかありません

 先程述べたように、祭祀承継者は、承継する人と亡くなった人との身分関係や生活関係、祭祀財産の場所、管理の経緯、承継する人の意思・能力等を踏まえて総合的に判断されることになるので、あなたの場合も、遺骨の管理の方法だけでなく、それ以外の事情も考慮して判断されることになります。

 

5.今回のポイント

 遺骨は、墓石などと同様、祭祀承継者に帰属します。

 祭祀承継者について争いがある場合には、家庭裁判所が祭祀承継者を決めます。

 祭祀承継者は、承継する人と亡くなった人との身分関係や生活関係、祭祀財産の場所、管理の経緯、承継する人の意思・能力等によって決められます。

 分骨も選択肢の1つです。

 

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