2016.11.10更新

お父様を亡くされた二男様から、父の家業への参加と寄与分についてのご相談です。


1.ご相談者

 50代の男性

 ①被相続人

  70代の父

 ②相続人

  ご相談者(二男)と長男

 ③遺産

  現金、預金、不動産、株式

 

2.ご相談の内容

 父が亡くなり、兄と相続の話をしています。父は、個人で部品を製造販売をしていましたが、兄が後を継がないというので、私が父と一緒に仕事をし、事業を維持してきました。

 父の仕事を手伝ってきた私は、兄より多く相続することはできないのでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 相続人(二男)が被相続人(父)の事業に労務の提供をしたことによって被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合には、寄与分(きよぶん)として多く相続することができます。

 

(1)寄与分(きよぶん)って何?

 寄与分とは、相続人が被相続人の事業に労務を提供したり、財産上の給付をしたり、療養看護をしたりして、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与があった場合に、寄与に相当する額を取得することを言います(民法904条の2)。

 

(2)寄与分はどんな場合に認められるの?

 寄与分が認められるためには、①相続人の寄与行為であること、②特別の寄与であること、③遺産が維持または増加したこと、④寄与行為と遺産の維持・増加に因果関係があることが必要です。

 ①については、原則として相続人の行為ですが、相続人でなくても、相続人の行為と同視できる場合には寄与分が認められることがあります。

 ②については、「特別」の寄与が必要で、通常期待される程度の貢献では寄与分は認められません。

 

(3)家業の手伝いは寄与分と認められるの?

 相続人が被相続人の家業の仕事をしている場合も寄与分が認められます。

 ただ、寄与分が認められるためには「特別」の寄与が必要なので、長期にわたって継続的に仕事をしていることが必要で、少し手伝ったという程度では「特別」の寄与にあたりません。

 例えば、長年、実家の薬局を手伝っていた子供が父の相続において寄与分を主張した事案で、裁判所は、父に代わって経営の中心となり、薬局を会社組織にした後も、店舗を新築するなどして経営規模を拡大し、父の遺産の維持又は増加に特別の寄与貢献をしたものと解せられるとして、約9000万円の遺産のうち、3000万円の寄与分を認めました(福岡家裁久留米支部平成4年9月28日審判)。

 他にも、親と一緒に農業をしていたという場合も、寄与分が問題になることがあります。

 

(4)寄与分が認められるとどうなるの?

 寄与分が認められると、遺産から寄与分に相当する額を除いた財産を基準として法定相続分の割合で算定した相続分と寄与分を併せて相続することができます。

 例えば、相続人が子供2人(A、B)で、相続が開始した時点での遺産が5000万円、Aの寄与分が1000万円とします。この場合、まず5000万円の遺産からAの寄与分1000万円を除き、残りの4000万円をAとBで2分の1ずつ分けます。最終的に、Aは3000万円、Bは2000万円を相続することになります。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 ご相談者の場合、お父様の事業を単に手伝っているというのではなく、継続して仕事として一緒にしてきたというのであれば、寄与分が認められる可能性はあります。

 あとは、どの程度の給料をもらっていたのか、ご相談者の労働によってどの程度お父様の財産が増加し、あるいは維持されているのかが問題となりそうですが、これらの点がクリアできれば、寄与分が認められる可能性はあります。

 お兄様と相談して寄与分が決められない場合には、家庭裁判所に遺産分割の審判の申立てと寄与分を定める処分の審判の申立てをしましょう。

 

5.今回のポイント

 相続人が被相続人の事業に労務を提供して、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与があった場合には、寄与分にを取得することができます。

 寄与分が認められるためには、「特別」の寄与が必要です。単に仕事を手伝っていたという程度では「特別」の寄与にあたりません。

 寄与分が認められると、遺産から寄与分に相当する額を除いた財産を基準として法定相続分の割合で算定した相続分と寄与分を併せて相続することができます。

 寄与分が決まらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の審判の申立てと寄与分を定める処分の審判の申立てをしましょう。

 

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  着手金 20万円   

  報酬金 遺産分割で得た金額の報酬額(③)

 

③ 遺留分減殺請求訴訟・遺言無効確認請求訴訟等

  着手金 25万円

  報酬金 訴訟で得た金額の報酬額(③)

 

③ 遺産分割・訴訟で得た金額の報酬額

  300万円以下の場合          16%

  300万円を超えて3000万円までの場合  10%+18万円

  3000万円を超えて3億円までの場合    6%+138万円       

 

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  その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。  

 

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