2016.11.18更新

2人のお子様がいるお父様から、自分で遺言を作る場合の書き方についてのご相談です。

 

1.ご相談者

 70代の男性

 ①推定相続人

  長男、二男

 ②財産

  現金、預金、不動産、株式

 

2.ご相談の内容

 3年前に妻が亡くなり、2人の子供がいます。私が死んだ後、子供たちが相続で揉めないように遺言を作りたいと思っています。

 自分で遺言を作りたいのですが、どのように書けばよいよいでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 遺言の内容の全文と日付と氏名の全てを自分で書いて、押印します。

 

(1)自分で遺言を作るにはどのように書けばいいの? 

 自分で自書して作成する遺言のことを自筆証書遺言と言います。

 自筆証書遺言は、遺言をする人が遺言の内容の全文と日付と氏名を自書し、押印して作成します。

 証人の立会いが必要ないので、1人で簡単に作ることができますが、簡単に作れるが故に、偽造・変造を防ぐため厳格な要件が定められています。

 

(2)パソコンで作ってもいいの?

 自筆証書遺言は、全文を自書する必要があるので、代筆やパソコンで作成したものは無効です。

 また、病気などの理由で他人の添え手を受けた場合については、①遺言者が証書作成時に自書能力を有し、②他人の添え手が単に始筆若しくは改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みに任されており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけで、かつ、③添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが筆跡の上で判定できる場合に有効とされています(最高裁昭和62年10月8日判決)。

 

(3)「年月」しか書いていない場合はどうなるの?

 日付がなかったり、年月だけで日の記載がないものも無効です。

 また、〇年〇月吉日と書いてある場合も無効です(最高裁昭和54年5月31日判決)。

 

(4)氏が書いていない場合はどうなるの?

 名前だけで氏が書いていない場合であっても、同一性が分かれば有効とされています。

 

(5)実印でないといけないの?

 押印は実印である必要はありません。

 

(6)自筆証書遺言のメリット・デメリット

 自筆証書遺言のメリットは、1人で簡単に作れ、費用が掛からないことです。

 ただ、自筆証書遺言の要件を欠くと無効になりますし、簡単に作れるが故に偽造や変造がされやすいというデメリットもあります。また、自筆証書遺言の場合、家庭裁判所に遺言書を提出して検認の手続をしなければならないという点もデメリットといえます(民法1004条)。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 自筆証書遺言は、遺言をする人が遺言の内容の全文と日付と氏名を自書し、押印して作成します。1人で簡単に作ることができ、費用もかかりませんが、要件が厳格なので無効となる危険性があります。また、偽造や変造の危険性もあります。自筆証書遺言を作成するときは方式にも十分注意しましょう。

 方式や偽造等の心配がある場合には、公正証書遺言を作成した方がよいでしょう。

  

5.今回のポイント

 自筆証書遺言は、遺言をする人が遺言の内容の全文と日付と氏名を自書し、押印して作成します。

 代筆やパソコンで作成したものは無効です。

 日付がなかったり、年月だけで日の記載がないものも無効です。

 押印は実印である必要はありません。

 自筆証書遺言のメリットは、1人で簡単に作れ、費用が掛からないことです。

 

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まずは、お気軽にご相談ください。

 

弁護士費用(税別)

① 遺言書の作成(事業承継等のない定型の場合)

  着手金 10万円   

  報酬金 0円

 

② 遺言書の作成(事業承継等のある非定型の場合)

  着手金 遺産の額が3000万円以下の場合                      20万円

      遺産の額が3000万円を超えて4000万円以下の場合 30万円

      遺産の額が4000万円を超えて5000万円以下の場合 40万円

      遺産の額が5000万円を超える場合          50万円 

  報酬金 0円

 

③ 遺言の執行

  着手金 遺産の額が2000万円以下の場合           20万円

      遺産の額が2000万円を超えて2億円以下の場合  遺産の額×1%

      遺産の額が2億円を超える場合           遺産の額×0.5%+100万円

  報酬金 0円

 

④ 遺産の額の算定方法

  弁護士費用の基準となる遺産の額は負債を控除する前の額を基準とします。

  各遺産の額は相続税評価額を基準として算定します。ただし、課税価格の特例等による減額は考慮しません。

 

⑤ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、公証役場への手数料、交通費等の実費が発生します。  

 

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