2016.11.20更新

2人のお子様がいるお母様から、自筆証書遺言の内容を変える方法についてのご相談です。

 

1.ご相談者

 70代の女性

 ①推定相続人

  長女、二女

 ②財産

  現金、預金、マンション

 

2.ご相談の内容

 妻に先立たれて1人で暮らしています。私には2人の子供がいて、長男が私の面倒を看るという約束で遺産の全部を相続させる自筆証書遺言を書いたのですが、私の面倒を看てくれません。

 遺言の内容を変えたいのですが、どのような方法で変更すればよいでしょうか?

 

3.ご相談への回答

 自筆証書遺言の内容を変更するには、①変更する場所を指示して変更内容を記載し、②変更したことを記載して署名し、③変更した場所に押印する必要があります。

 

(1)自筆証書遺言はどうやって変更するの?

 自筆証書遺言の内容を変更するには、①変更する場所を指示して変更内容を記載し、②変更したことを記載して署名し、③変更した場所に押印する必要があります(民法968条2項)。 

 自筆証書遺言の場合、公正証書遺言と違って、証人の立会いがないので、偽造や変造を防ぐために遺言の内容を変更する場合にも厳格な要件が定められています。

 具体的には、まず、①加入する場合には、{ を、削除・訂正する場合には、二重線を引いて変更する場所を指示します。

 次に、②変更したい内容を記載します。

 次に、③欄外に、加入した字数、削除した字数(〇字加入、〇字削除)を書きます。

 次に、④氏名を書きます。

 最後に、⑤変更した場所に押印します。

 

(2)変更の要件を充たしていないとどうなるの?

 自筆証書遺言の内容を変更しても、(1)の方式によらないと変更は認められません。例えば、変更した場所に押印するのを忘れてしまった場合には、変更は認められません。

 変更が認められない場合には、変更前の内容に従って効力を有することになります。

 ただし、内容を変更したことによって元の内容も判読できなくなった場合には、遺言自体が無効になってしまう可能性もあります。

 例えば、日付に「9年3」を書き加えて「昭和29年3月30日」としたが、変更の要件を充たさない遺言について、裁判所は、元の日付が判読できないので、日付のない遺言として無効と判示しています(仙台地判昭和50年2月27日)。

 

(3)自筆証書遺言のメリット・デメリット

 自筆証書遺言のメリットは、1人で簡単に作れ、費用が掛からないことです。

 ただ、自筆証書遺言の要件を欠くと無効になりますし、簡単に作れるが故に偽造や変造がされやすいというデメリットもあります。また、自筆証書遺言の場合、家庭裁判所に遺言書を提出して検認の手続をしなければならないので、この点もデメリットといえます(民法1004条)。

 

4.ご相談者へのアドバイス

 自筆証書遺言を変更するには、①変更する場所を指示して変更内容を記載し、②変更したことを記載して署名し、③変更した場所に押印する必要があります。 自筆証書遺言の内容を変更しても、決められた変更の方式によらないと変更は認められないので、注意しましょう。

 変更の方式や偽造等の心配がある場合には、公正証書遺言を作成した方がよいでしょう。

 

5.今回のポイント

 自筆証書遺言の内容を変更するには、①変更する場所を指示して変更内容を記載し、②変更したことを記載して署名し、③変更した場所に押印する必要があります。

 具体的には、①加入する場合には、{ を、削除・訂正する場合には、二重線を引いて変更する場所を指示し、②変更したい内容を記載し、③欄外に、加入した字数、削除した字数(〇字加入、〇字削除)を書き、④氏名を書き、⑤変更した場所に押印します。 

 決められた方式によらないと変更は認められません。その場合、変更前の内容に従って効力を有することになります。

 

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弁護士費用(税別)

① 遺言書の作成(事業承継等のない定型の場合)

  着手金 10万円   

  報酬金 0円

 

② 遺言書の作成(事業承継等のある非定型の場合)

  着手金 遺産の額が3000万円以下の場合    20万円

      遺産の額が3000万円を超えて4000万円以下の場合 30万円

      遺産の額が4000万円を超えて5000万円以下の場合 40万円

      遺産の額が5000万円を超える場合         50万円

  報酬金 0円

 

③ 遺言の執行

  着手金 遺産の額が2000万円以下の場合         20万円

      遺産の額が2000万円を超えて2億円以下の場合  遺産の額×1%

      遺産の額が2億円を超える場合          遺産の額×0.5%+100万円

  報酬金 0円

 

④ 遺産の額の算定方法

  弁護士費用の基準となる遺産の額は負債を控除する前の額を基準とします。

  各遺産の額は相続税評価額を基準として算定します。ただし、課税価格の特例等による減額は考慮しません。

 

⑤ 着手金以外に日当は発生しません。

  その他に、公証役場への手数料、交通費等の実費が発生します。  

 

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